●まずは何をすべきか。どのタイミングで小児科医に相談するか。専門医でないからこそ知ってほしいファーストタッチ ●くどいくらいの総論とシンプルな各論で、わかる“子どもの診かた" 「専門医ではないけど、小児科外来の初期対応くらいは身につけておきたい」そんな風に思ったことはありませんか? 本書は、見落としなく診療を進めるためのファーストタッチのポイントを、気鋭の小児科医が“くどい"ほど丁寧に解説。「発熱と発疹がある場合の鑑別は?」「レントゲンは撮るべき?」「帰宅させても大丈夫? それとも入院?」「処方はどうしよう」「保護者への説明って難しい」…そんな現場の“困った! "を解消する、ポケットにあると安心な1冊。 【いただいた書評をご紹介します(一部抜粋)】 ファーストタッチとバトンタッチ 笠井 正志先生(兵庫県立こども病院感染症内科 部長) 本書は、文章も構成も美しく、丁寧にわかりやすく記載されているのに漏れがない。小児医療に慣れていない人にも理解できる大変リーダーフレンドリーな実践本である。この本さえあれば、非小児科医であっても今日からすぐに外来や病棟で使えると言っても過言ではない。(中略) 医療はバトンタッチである。ファースト(外来、救急)で診たあと、セカンド(次の日、上級医、入院、専門外来など)、そしてサード(高次医療、専門医療など)へとつながれていく。さあ、小児医療の最初のバトンを持つ初期研修医諸君、「ファーストタッチ」を持って、こどもをファーストタッチし、命のバトンをつなごう! 堀向 健太先生(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター小児科) 小児科領域の疾患は星の数ほどある。そのため、一人で小児科の教科書を書くのは至難の業だ。それを初期研修医や総合診療医にこそ診てほしい範囲に絞り、さらに重要度のランク付けをし、書きすぎない程度に詳細かつ簡潔に説明し(これが難しい)、なんなら小児科医が隠し持っているアドバンスドな知識を散りばめてある。 これは、「前線ですべての子どもの疾患をみている“超一流"の小児科医」にしかできない。 サブスペシャリティに軸足を移してしまうとこんな本は書けなくなってくる。どうしても知識に濃淡が出てしまい手薄な領域ができてしまうのだ。少なくとも私にはちょっと真似できない。そして通読していて一貫した内容ですごく読みやすい。良い本が出てきたなあと感心しきりである。 石川 洋一先生(明治薬科大学薬学部 教授) ああ、本書は現場で小児に出会う薬剤師にピッタリであると感じた。現場の薬剤師が医薬品に関する知識と経験とがありながら、現場での患児と家族への説明、疑義照会での問題点の説明のときに不足するもの、それは処方が選択される前の臨床情報である。 患児はどんなことからどのような疾患が疑われ、どのような状況からその医薬品が選択されたのか。この患児には医薬品について、また医薬品以外のどのようなことについて注意を払い、そして説明すべきか。ファーストタッチを学ぶための本書にはそれが書かれている。小児が薬局に来たとき、クリニックに受診させるべきかを考える参考にもなる。 【序文】 医療崩壊から学んだ教育改革 兵庫県立柏原病院は、医師不足による医療崩壊を経験した地方基幹病院です。医師不足を解消すべく、柏原病院が2013年に打ち出した施策は教育改革でした。優れた医学教育を提供し続けることで、初期研修医にとって魅力のある病院にしようと取り組みました。 まず、初期研修医がどのような教育を受けたいのかを調査しました。柏原病院では、初期研修医と指導医が月に1回ミーティングをし、指導医が教えたいこと、初期研修医が学びたいことが一致するように努力しています。そのミーティングの結果、初期研修医の多くが「外来に子どもが来たときに、一人で対応できるようになりたい」と述べました。(中略) 非小児科医にこそ学んでほしい小児科ファーストタッチ 将来小児科医になるわけではないけれど、それでも子どもの初期対応くらいは自信をもってできるようになりたい。初期研修医の想いが、柏原病院の研修医ミーティングで明らかになりました。初期研修医は「外来に来た子どもに、まずは何をするべきなのか」というテーマに強い関心をもっています。研修医ミーティングを経て、彼らに必要な教育は入院患者に対する専門的な治療よりも、小児科外来や救急外来における「子どもへのファーストタッチ」であると私は感じるようになりました。最新のエビデンスに基づいた専門的な治療は、小児科専門医が引き継いでから行えばよいのです。 ファーストタッチというのは、どのような病気を考え、どのような検査と処置を計画し、どうなれば帰宅、どうなれば入院になるかということを頭にしっかり思い浮かべながら、問診と診察と検査をすることです。鑑別疾患を広く考え、見落としなく診療を進めていくことが大切です。そのため、本書では総論をできるだけ詳しく書きました。そして、小児科学の入門書としてわかりやすくなるように、大切なことは何度も繰り返し書きました。小児科学をある程度知っている人には、くどいと感じるかもしれません。ですが、このくどさこそ教育であると思っています。 いっぽう、小児科研修の後半になって、ある程度診断能力が向上してきたら、鑑別疾患はスムーズに立てられるようになるでしょう。そういう場合は、本書の各論(第2章以降)を外来診療のリソースとして使用してください。各論はポケットリファレンスとして機能するように、シンプルにまとめました。 入院を要する疾患の治療については簡略に記述しました。これは、入院後の治療をある程度知っておくことで、外来での対応をスムーズに行うことを目指したためです。入院後の詳細な管理のリソースとして、本書は適切ではありません。本書はあくまで「外来に来た小児に対してどのようなファーストタッチを行い、どのタイミングで小児科専門医に相談するか」を目的に書かれています。 「子どもは小児科医が診る」という時代は続かない (中略)小児科医が偏在・不足するなか、子どもへのファーストタッチが小児科医ではないという地域は増えていくと思います。自信をもって子どもへのファーストタッチを行える医師が増えてくれると、私たち小児科医の仕事も楽になります。初期研修医を教育するのは、彼らのためだけではありません。彼らを適切に教育することで、回り回って小児科医である私たちの負担も楽になるはずです。 小児科専門医ではない医師が、自信をもって子どものファーストタッチができる。くどいくらいに教育的な総論と、シンプルな各論を併せもった本書がその一助となることを願います。本書をとおして、子どもを診ることができる医師になりませんか? 2019年2月 兵庫県立柏原病院小児科 医長 岡本 光宏
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