スターリン女子中央狙撃兵学校の実態に迫り、東部戦線に従軍した女性スナイパーの回顧録 著者ユーリヤ・ジューコヴァは、継父がスターリンの大粛正時代に不当逮捕・投獄されたにも関わらず、熱烈な愛国心の持ち主だった。18歳の誕生日を迎える前に軍に志願し、狙撃兵養成学校に送られた。厳しい訓練を経て、1944年11月から東プロイセン及びポーランドで展開された凄惨な戦いのなかで、彼女は実戦を経験する。自身が最初の「命中」を記録し、それが「戦績」のスタートになり、かつ命中がひとつの命を終わらせる行為だと自覚する。その後、膝を負傷してケーニヒスベルク近郊で終戦を迎えた。 戦後、著者はそれらを手記に綴ることで、自身のトラウマに対処する方法を獲得する。手記は、その実体験に基づく生き生きとした記述から、当時のソ連邦における日常生活が垣間見える内容になっている。この女性スナイパーが戦場で見せた驚くべき勇気と手厳しい周囲の評価についても率直に語られているのがこの本の見どころである。
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