心はいかに生まれるのか? 認知科学・現象学・脳科学・力学系の知見を基にロボット実験を行い、意識の萌芽を見る。人文と理工の知が融合したロボット研究の名著の日本語版。 「谷淳はロボティクス分野ではたらく神経科学者のなかで、これ以上の人物にはお目にかかれないほど創造的でひらめき豊かな人物だ。本書は、彼の業績に関する見事なレビューであり、心の性質についていくつか説得力ある結論を提供している。教育的であるとともに画期的でもある。表象と身体化された認知の基本を、合成脳の中でのミラーニューロンと自由意志の創発を通じてカバーしている。要するに谷は、身体化または制定性、システム理論、能動的認知または推測という三つの主要な材料を組み合わせることで「完璧な嵐」を作り出した。本書はロボティクスと機械学習の独創的な実験により裏付けられた、見事に構築された深い思索のサーベイなのだ。」 ──カール・J・フリストン教授、ロンドンユニバーシティカレッジ、神経学神経画像研究所ウェルカム信託センター、ウェルカム主席フェロー科学長官「谷淳は、計算神経科学者であり、きわめて影響力のある行動処理モデルの作者である。本書で彼は、ロボットにおける主観体験という魅惑的な問題に取り組んでいる。専門家、非専門家を問わず、この見事な本を楽しめることだろう」 ──ジャコモ・リゾラッティ、パルマ大学神経科学部、人間生理学教授「この重要な著作は、『合成ニューロロボティクス』最前線からの報告だ。谷は単純な感覚運動反応と、公示知能形態に特徴となる構造化された理解や技能とのギャップを埋めようとしている。本書は画期的な実験と根源的な思索とを組み合わせており、同時に主観体験そのものの現象学も視野に収めている。まさに古典となるべき書物であり、きわめて広く読まれることが期待される」 ──アンディ・クラーク、エジンバラ大学哲学心理学言語学科論理形而上学教授、『不確実性を逍遥:予測、行動、身体化された精神』著者 ■目次 序文(フランク・E・リッター) はじめに 日本語版の出版にあたり 第I部 心について 第1章 心にどこから手をつけるべきか? 第2章 認知主義 第3章 現象学 第4章 脳と脳科学入門 第5章 身体化認知モデル化のためのダイナミックシステムアプローチ 第II部 創造的な心:ロボティクス実験からの知見 第6章 新しい提案 第7章 行動の結果から世界について予測的に学習する 第8章 感覚・運動フローの分節化によるミラー行動生成と認識 第9章 行動のための機能階層を発達させる 第10章 行動のための自由と意識化された認識 第11章 結論 文献 索引
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