3.11直後から迷走した放射線の健康被害をめぐる情報。「専門家」とはどんな人たちで、何を根拠に語っていたのか? 東大教授が「安全神話」の淵源を探り、日本の科学技術の暗部を衝く。【目次】はじめに序章 不信を招いたのは科学者・専門家(1) 事故後早期の放射線健康影響情報(2) 放射線健康影響情報の混乱 ——『国会事故調報告書』はどう捉えているか?(3) 放射線健康影響をめぐる科学者・専門家の責任第一章 放射線健康影響をめぐる科学者の信頼喪失(1) 放射線の健康影響の専門家は信頼できるか?(2) 日本学術会議の対応(3) 会長談話「放射線防護の対策を正しく理解するために」(4) 大学の内から(5) 放射線の健康への影響の不明確さ(6) 異論を排除する姿勢第二章 放射線の安全性を証明しようとする科学(1) 二〇mSv基準をめぐる混乱と楽観論の専門家(2) 原発推進と低線量被ばく安全論の一体性(3) 電力中央研究所の低線量影響研究(4) 放医研周辺の放射線発がん機構研究(5) 強化される原発推進体制の中で(6) 放射線ホルミシス研究という科学潮流(7) 保健物理(放射線影響学・防護学)の学界動向(8) 医学者たちの反応第三章 「不安をなくす」ことこそ専門家の使命か?(1) リスク・コミュニケーションという論題(2) 「リスク認識が劣った日本人」という言説(3) 放射線健康影響専門家の「安全・安心」という言説(4) 「安全・安心」をめぐる混迷(5) 「安心」こそ課題という立場が排除するもの(6) 「不安をなくす」ことこそ被爆地の医学者の任務という信念(7) 「不安をなくす」ために調べない知らせないという「医療倫理」?(8) リスク管理の専門家はリスコミをどう理解してきたのか?終章 科学者が原発推進路線に組み込まれていく歴史(1) 被災住民の思いから遠い科学者たち(2) 放射線健康影響の専門家を取り巻く環境の推移(3) 被災住民側ではなく政府側に立つ科学者おわりに
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