本書改訂の基本的方針は,旧版を基底に据えつつも,それに大幅な修正・加筆を施すことによって,現在の法実務の状況に適合する最新の判例法理等の情報を提供するとともに,この分野を学習する者,とりわけ法科大学院生や司法修習生,さらに法曹等の実務家や研究者にとっても実践的な内容のものとすることである。(「『新版 債権総論』の刊行に当たって」より抜粋) 中巻の取り扱う範囲は「,第3章 債権の効力」のうち,上巻で取り上げた部分の残りから「,第4章 多数当事者の債権関係」までであり,その分量はほぼ上巻と同程度になる。 このうち「,第3章第9節 詐害行為取消権」と「第4章第5節 保証債務」は,思いのほか困難な作業であった。 前者については,裁判実務で積み上げられた判例法理が,改正法により,どのような変容を求められるかが中心課題となる。このため,改訂に当たっては,今般の改正法の制定過程で交わされた議論は勿論のこと,その後の実体法のみならず倒産法を含む手続法に関する学説の展開も反映する必要があり,これらが複雑に絡み合い,今後の実務の方向性を探ることが難しかったからである。 また,後者は,旧版以降の急速な社会・経済情勢の変化に伴い,人的担保法理が進展し,かなり大規模な改正となった分野である。このため,勢い改正法の規律もその規制領域ごとに細分化されている上,その適用関係も輻湊しており,今後,実務において,改正法下における新たな保証制度がどのように活用されるのかが定かでなかったことによる。(「中巻の刊行に当たって」より抜粋)
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