早産は, 多くの産科医が遭遇するにもかかわらず, そのメカニズムは未だに解明されていない。本書では, 2018年に発足した日本早産学会が行った大規模調査により得られた情報に基づいて作成した指針を紹介する。1章では基礎編として早産の機序・病態生理を, 2章では臨床編として最新の知見に基づく早産の診療・管理指針を, 臨床現場において実際的なクリニカル・クエスチョン形式に基づいて解説する。【目次】■I 基礎編陣痛発来機序と早産 正期産までの諸段階 子宮筋の活動性変化 プロゲステロン作用の機能的消退 オキシトシン プロスタグランジン(PG) 4 胎盤副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)と胎児視床下部─下垂体─副腎(HPA)系 サイトカイン その他の調節因子 早産における陣痛発来メカニズム炎症カスケードからみた早産の発生機序 自然早産と子宮内炎症 炎症と感染 自然早産における炎症カスケード 組織学的CAMの診断 自然早産児のリスク 子宮内感染・炎症の評価ヒアルロン酸代謝からみた早産の発生機序 子宮頸管の組織構造 子宮頸管熟化における2系統のメカニズム腸内細菌叢と早産 妊娠による腸内細菌叢の変化 妊娠中の食事と腸内細菌叢の変化 妊娠中の抗菌薬使用と腸内細菌叢の変化プレバイオティクスと早産 背景 プロバイオティクスとプレバイオティクス I. …ヒト子宮頸管粘液中および羊水中のLF動態の検討 II. ヒト子宮頸管腺細胞および羊膜細胞培養系でのLFの抗菌・抗サイトカイン作用とそのメカニズムについての検討 III. 動物実験系におけるLFの早産抑制効果に関する検討 IV. ヒトへの投与による腟内細菌叢の改善効果および早産予防効果の検討羊膜の修復過程 前期破水の原因 胎児組織の創傷治癒 マクロファージ マクロファージと組織修復 羊膜の器官培養での創傷治癒 マウス前期破水モデルでの創傷治癒 いわゆる「足場」の重要性 羊膜細胞の組織修復能,多分化能 ■II 臨床編 Q1「 切迫早産」の定義は? Q 2 海外における「切迫早産」の定義は? Q 3 子宮頸管無力症の診断は? Q 4 早産期前期破水の定義は? Q 5 絨毛膜羊膜炎(CAM)の定義と診断は? Q 6 リスクについて具体的に説明できるリスク比,オッズ比とは? Q 7 早産の年次推移を示してください Q 8 わが国と海外の早産率に違いはありますか? Q 9 早産になりやすい基礎疾患を教えてください Q 10 喫煙などの生活習慣(歯周病以外)と早産の関連は? Q 11 歯周病と早産の関連は? Q 12 早産歴や子宮頸管手術歴と早産の関連は? Q 13 母体体重と早産の関連は? Q 14 細菌性腟症と早産の関連は? Q 15 子宮頸管長と早産の関連は? Q 16 細菌性腟症に対する治療介入によって早産は減少しますか? Q 17 ペッサリー使用成績の現状を教えてください Q 18 子宮頸管無力症への対応はどのようにしたらよいですか? Q 19 子宮頸管縫縮術の分類とその術式などの注意点は? Q 20 子宮頸管縫縮術の治療成績は? Q 21 緊急時の子宮頸管縫縮術の手技・管理とその評価(治療成績)は? Q 22 プロゲステロン筋肉内投与の成績は? Q 23 プロゲステロン腟坐剤の薬理作用と治療成績は? Q 24 分娩予定日の確認方法は? Q 25 入院時の母体評価の手順を示してください Q 26 臨床症状を中心とした鑑別診断のフローチャートを示してください Q 27 CRP測定の意義は? Q 28 早産に関するバイオマーカー(癌胎児性フィブロネクチン, Q 29 胎児発育はどのように評価しますか? Q 30 胎児健常性の評価法は? Q 31 早産期の胎児心拍数陣痛図の特徴と薬剤の影響を教えてください Q 32 子宮頸管長の正確な測定法とプレッシャーテストを教えてください Q 33 切迫早産・前置胎盤に特徴的な超音波所見はありますか? Q 34 常位胎盤早期剥離の超音波所見のポイントを教えてください Q 35 安静は有効ですか? Q 36 補液は有効ですか? Q 37 各種子宮収縮抑制薬の歴史的変遷と現状,今後の展望は? Q 38 イソクスプリンの適応と使い方は? Q 39 リトドリン塩酸塩の適応と使い方は? Q 40 テルブタリンの適応と使い方は? Q 41 インドメタシンの適応と使い方は? Q 42 海外におけるオキシトシン受容体拮抗薬の適応と使い方は? Q 43 ニフェジピンの適応と使い方は? Q 44 硫酸マグネシウムの適応と使い方は? Q 45 硫酸マグネシウムの神経保護作用について教えてください Q 46 子宮収縮抑制薬併用時の実際を教えてください Q 47 子宮収縮抑制薬の至適投与期間は? Q 48 子宮収縮抑制薬の胎児/新生児に与える影響は? Q 49 未破水の切迫早産に対する抗菌薬投与は何に対して有効ですか? Q 50 一般的な出生前ステロイド投与法を教えてください Q 51 出生前ステロイドの反復投与はどう評価されていますか? Q 52 妊娠24週未満,34週以降の投与は有効ですか? Q 53 糖尿病合併妊娠,妊娠糖尿病妊婦に対する Q 54 心疾患,甲状腺機能亢進症などの内科的合併症で, Q 55 高血圧や慢性腎臓病で早産治療を行う際の注意点は? Q 56 子宮筋腫合併妊娠・子宮筋腫核出術後の症例で Q 57 多胎妊娠で早産治療を行う際の注意点は? Q 58 羊水過多や胎児発育不全(FGR)などで,早産治療を行う際の注意点は? Q 59 前置胎盤で早産治療を行う際の注意点は? Q 60 外回転術施行時の子宮収縮抑制薬使用方法を教えてください Q 61 切迫早産治療中どういった場合に分娩に踏み切りますか? Q 62 切迫早産管理中の胎児機能不全をどう判断しますか? Q 63 陣痛発来をどのように判断しますか? Q 64 絨毛膜羊膜炎(CAM)が顕性化したときに, Q 65 分娩様式を決定する因子を教えてください Q 66 帝王切開はどういった場合に施行しますか? Q 67 帝王切開時の麻酔法は? Q 68 早産児蘇生の具体的手順を教えてください Q 69 早産児出生直後の合併症を教えてください Q 70 新生児センター入院中の合併症を教えてください Q 71 在胎週数別の死亡数・死亡率を教えてください Q 72 極低出生体重児の予後についての最近の動向を教えてください Q 73 早産症例の長期予後について教えてください Q 74 DOHaDとは? (小さく産まれることと早産児の健康リスク) Q 75 低出生体重とDOHaDの関連は? Q 76 胎盤関連産科合併症(PMPC)とは? Q 77 日本のエコチル調査の概要を教えてください Q 78 早産期前期破水(pPROM)に対する予防的抗菌薬投与は Q 79 早産期前期破水(pPROM)に対する子宮収縮抑制薬は Q 80 早産期前期破水(pPROM)に対する週数ごとの対応を Q 81 長期破水に伴う合併症を教えてください Q 82 CAOSとは何ですか? Q 83 早産症例によくみられる胎盤病理所見を教えてください■Colum 細菌の分類 子宮頸管無力症の診断についての日米での差異 子宮頸管縫縮術の適応と分類についての日米での差違 プロゲステロン(17-OHPC)とプロゲストーゲン,プロゲスチン 単一施設における早産児の推移 子宮収縮抑制薬(tocolytics)の思い出話 前期破水管理の変遷 切迫早産・前期破水合併妊婦の看護のポイント
人気のある作家
メジカルビュー社 (7) 白石 憲男 (3) 小林 裕明 (3) あすみさ (2) 倉田 宝保 (2) 柴原 浩章 (2) 長江 美代子 (2) 大須賀 穣 (2) 横手 直美 (2) 磯部 真倫 (2) 江口 美智 (2) 林典雄 (2) 日本母体救命システム普及協議会 (2) 藤井 知行 (2) 田村 正徳 (2) 細野 茂春 (2) 医療情報科学研究所 (2) 竹田 省 (2) (1) 一般社団法人 日本移植学会 臓器移植後妊娠・出産ガイドライン策定委員会 (1)