日本アニメの金字塔「宇宙戦艦ヤマト」が誕生してから40年以上になる。生みの親であるプロデューサー西崎義展(1934ー2010)はすべてにおいて「特異な男」だった。交流をもった者は誰もが彼を「悪党」と評しながらも、そこには深い愛憎が見てとれる。いまや世界の文化である日本アニメを語るうえで無視することができない西崎義展の存在を、その大いなる成功と挫折から綿密に描く初の本格的ノンフィクション「ヤマトがあったから僕はアニメを見続けることができた」――庵野秀明(監督・プロデューサー、2008年・西崎義展との対談より)日本アニメの金字塔「宇宙戦艦ヤマト」が誕生してから40年以上になる。生みの親であるプロデューサー西崎義展(1934ー2010)はすべてにおいて「特異な男」だった。交流をもった者は誰もが彼を「悪党」と評しながらも、そこには深い愛憎が見てとれる。いまや世界の文化である日本アニメを語るうえで無視することができない西崎義展の存在を、その大いなる成功と挫折から綿密に描く初の本格的ノンフィクション「宇宙戦艦ヤマト」のプロデューサー・西崎義展が、遊泳のため訪れていた小笠原・父島で船上から海へ転落。午後二時五八分、死亡が確認された―。 平成二二(二〇一〇)年一一月七日、その夜半にもたらされた一報に首をかしげる関係者は少なくなかった。「もしや西崎は消されたのではないか。あの男はそれだけの恨みを買っている」 またたく間に、本気ともブラックジョークともつかぬ他殺説が世間に流布されていった。(「序章」より)
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