語学の教科書は一つの作品でなければならない。 ― 関口存男の「講座」はそれをおしえてくれた。 語学の教科書は一つの哲学に貫かれていなければならない。だから、人がこの「講座」から学ぶのはドイツ語だけではない。 語学の教科書は読み物として面白くなければならない。この「講座」はドイツ語の勉強ができる珠玉の“エッセイ集"です! ― 國分功一郎(2012年6月) --- この講座は横丁のひっそりした老舗です。主人が少し封建的で気がむつかしいのが欠点といえば欠点ですが、そうかといって別に無愛想な顔をした覚えはありません。 同じような例題を幾つも幾つもやらせて、まるでピアノの授業のように、指が軽く動くようにならなければ次へは進ませない。「単調だ! 」なんて不平をいったら「馬鹿野郎! 」と言ってどなりつける。バレーの練習もこういう風でしょう。算盤の練習もこの通りでしょう。タイプライターだって同じことです。習字もそうです。水泳も、野球も、ボクシングも、スポーツはすべてそうでしょう。ただ、これらはすべて肉体の筋肉と神経を訓練する。語学は(ことに書物の上でやる時には)頭の中の筋肉、大脳の筋肉を訓練する。この点だけの相違です。 大脳の筋肉というやつは、いったいどういう風にして訓練するか? それは「考えつつ習熟し、習熟しつつ考える」の一言に尽きます。 これをドイツ語の場合にあてはめると、具体的にいってどういう風な具合になるか? ― 本講座のような具合になります! (「序言」より)1956年7月8日 関口存男 --- 本書は単なる文法解説だけでなく、徹底的な「基礎訓練」を目標としています。全3巻を通し、39項の文法解説と21項の読章を2つの軸にして「語と語がどういう結びつきをするか」という一点に主眼を置き、文法の基礎を完全に習熟させます。上巻は「発音」、「第1講 動詞の不定形と人称変化」~「第8講 dassなどの後における定形後置」他で構成されています。
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