筆者は大学卒業後、家電メーカーにて20年以上に渡り、ソフトウェアの開発に従事しています。組み込み系やPCアプリの開発を行っており、主に使用している言語はC/C++です。C言語は、日本語や英語と同じように、意思伝達のための言語のひとつであると思っています。例えばメールを書くときは、伝わるように相手に分かりやすく書きます。C言語も同様に、ソフトウェアを開発する人、使う人、保守する人が見て、分かりやすく書いておきたいものです。特に、自分が書いたソースコードを誰かに引き継ぐとき、逆に別の人が書いたソースコードを引き継ぐとき、そのソースコードが、分かりやすく書かれていると、理解が早く、開発効率が上がり、バグが少ないことは、経験的に感じることでしょう。しかし、組織や、プロジェクトによって、それぞれのコーディングルールがあって、それらのルール従ってコーディングしている人も多いはずです。結局どういうソースコードが分りやすいのだろう、と疑問に思ったことはありませんか?本書では、筆者が実際の製品開発の現場において、これまで多くの優れたプログラマが書いたソースコードを見てきた中で、「これは分かりやすい」と感じ、自分の物にしてきた、ちょっとしたコツをマニアックな視点から纏めてみました。重要なことは、自分か書いたソースコードが、他の誰かに引き継がれたときに、分かりやすく理解してくれるだろうか、とう視点でソースコードを書くことです。つまりシンプルであり、トリッキーではない、ということです。長い間、コーディングを経験していくと、「結局一番わかりやすいコーディングはこれだよね」と共感していただけるはずです。では見ていきましょう。
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