EOI: essences of the issue 高齢者の膝関節の痛み 高齢者の膝関節痛は日常生活を制限する原因になっている.また膝関節痛は変形性膝関節症や関節リウマチなどと疾患別に捉えられることが多いが,実際にはさまざまな原因が交絡し, 1つの疾患として捉えることが困難な場合も多々みられる.この国民的課題とも言える高齢者の膝関節痛に対して,疫学,原因論,疼痛という観点から理学療法とのかかわりを紹介する.また理学療法はどの程度,疼痛に関して効果的なのだろうか.姿勢,変形性膝関節症,半月板,膝蓋大腿関節,関節周囲軟部組織とのかかわりを踏まえて解説する 高齢者の膝関節痛の疫学 田中 亮 本稿では,疫学的な観点から膝関節痛および変形性膝関節症の有病率の報告をまとめ,危険因子に関するシステマディックレビューおよび観察研究の知見を示した.また,医療経済学的観点から,変形性膝関節症の治療に関する費用対効果の研究を紹介するとともに,理学療法における高齢者の膝関節痛および変形性膝関節症の位置づけを考察した 高齢者の膝関節痛の原因 中宿伸哉 高齢者における膝関節痛といえば,変形性膝関節症を想定するであろうが,実際には関節内病変だけなく,関節外病変として疼痛が出現している場合も少なくない.確かにこれらは密接な関係があり,原因か結果かを明確にすることは難しいが,それぞれ疼痛出現因子となる組織を同定し的確な治療を行うことで,疼痛寛解の相互的作用を導くことも可能である.本稿では,考えられる疼痛の原因を解説する 姿勢と膝関節痛 森 健太郎,他 高齢者の膝の痛みの原因は主に変形性膝関節症が考えられ,その変形の進行と腰椎前彎の減少,脊柱傾斜角の増大には関連があり,相互に影響を与え合う病態はknee‒spine syndromeと呼ばれている.こういった姿勢と膝の問題について現在,諸家により述べられていることを参照しながら概説し,実際の症例を通し,姿勢をみることの重要性について述べる 高齢者の慢性疼痛の特徴 西上智彦,他 高齢者の約45~80%は何らかの痛みを抱えている.高齢者の慢性疼痛は,身体機能低下や身体障害,不安や抑うつ,転倒,身体活動低下,社会的孤立などを引き起こすとされており,心身機能だけでなく活動や参加といった高齢者の生活全般に影響を及ぼす.本稿では,高齢者と非高齢者の痛み感覚の違い,慢性疼痛をもつ高齢者の特徴,生活に影響を与える要因,評価,薬物治療,リハビリテーション,予後について概説する 高齢者の膝関節痛と変形性膝関節症 井野拓実,他 近年,生物心理社会モデルに基づいて疼痛を捉えることが重要視されている.変形性膝関節症の疼痛は,侵害受容性疼痛,神経障害性疼痛,非特異的腰痛,中枢性感作など多様な側面をもつ.理学療法士は,身体機能面の改善のみに固執するのではなく,さまざまな要因をマネジメントして患者教育を含めたアプローチをすることが重要である 高齢者の膝関節痛と半月板損傷 木村佳記,他 高齢者の半月板損傷は,内側半月板の水平断裂や後根断裂,外側円板状半月板変性断裂など,半月板の変性を背景にもつものが多い.また,半月板の変性損傷に変形性膝関節症が併存することも多いため,症例ごとに病態および膝関節痛の原因を十分に検討する必要がある.保存療法は,受傷初期には消炎鎮痛,運動量の調整および動作指導を行い,回復期には損傷部への過負荷を回避しながら柔軟性,関節可動域,筋力および荷重下の下肢アライメント制御を回復する 高齢者の膝関節痛と膝蓋大腿関節 野尻圭吾 退行変性疾患である変形性膝関節症において,膝蓋‒大腿関節の病態変化や疼痛の発生機序をより正確に把握することは重要である.高齢化という身体の変化と日常生活におけるメカニカルストレスがどのように膝蓋‒大腿関節に影響を与えるのかを理解し,的確なアプローチを早期に行うことで変形性膝関節症の進行を予防できると考える.本章では病態と痛みのメカニズムとその改善アプローチについて述べる 高齢者の膝関節痛と膝周囲軟部組織 赤羽根良和 高齢者は変形性膝関節症と診断されても,関節外の軟部組織が膝関節痛と関連していることがある.一連の関節運動のなかで,軟部組織は伸張性や柔軟性,さらに組織間の滑走性を含む機能が求められている.前大腿脂肪体,膝蓋下脂肪体,鵞足腱などは機能障害しやすく,これらが病態へと進展すると膝関節痛を引き起こす要因となる.病態を明確にすることにより,的確な運動療法や効果の期待できる自習運動が実現できると考えている 高齢者の膝関節痛の疫学 田中 亮 高齢者の膝関節痛の原因 中宿伸哉 姿勢と膝関節痛 森 健太郎,他 高齢者の慢性疼痛の特徴 西上智彦,他 高齢者の膝関節痛と変形性膝関節症 井野拓実,他 高齢者の膝関節痛と半月板損傷 木村佳記,他 高齢者の膝関節痛と膝蓋大腿関節 野尻圭悟 高齢者の膝関節痛と膝周囲軟部組織 赤羽根良和 ■Close-up 非侵襲的脳刺激 NIBS TMS 経頭蓋磁気刺激 久保 仁,他 tDCS 経頭蓋直流電気刺激 山口智史,他 GVS 電気前庭刺激 松木明好 ●とびら ご縁に導かれて 平元奈津子 ●目で見てわかる 今日から生かせる感染対策6 院内感染の原因となる微生物 森本ゆふ,他 ●再考します 臨床の素朴な疑問1 服の上から聴診してはダメ? 血圧を測定してはダメ br> 森 雄司 ●診療参加型臨床実習1 なぜ,診療参加型臨床実習が切望されるのか br> 内山 靖 ●国試から読み解く13 下腿三頭筋の筋活動を機能から理解しよう 福井 勉 ●臨床実習サブノート 運動器疾患の術後評価のポイント――これだけは押さえておこう! 10 橈骨遠位端骨折 萬谷尚大 ●私のターニングポイント 人間万事塞翁が馬 長谷川正哉 ●報告 歩行における下腿三頭筋の筋電図積分値とwavelet周波数パワーの差異 妹尾祐太,他 ●報告 脊柱後彎高齢者における腸腰筋トレーニングが脊柱後彎ならびに身体機能・能力に及ぼす効果 佐藤佑樹,他 ●卒業論文のひろば ダブルケアの支援につなげるための意識調査――食事介助に着目した検討 山田 彩,他 ●文献抄録 田村暁大・竹内真太・吉里雄伸・山本良平
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