この宇宙が誕生した瞬間、すべての物理法則は、生命にとって都合のいい世界になるよう、誰かが意図したかのように完璧に調整されました。宇宙は物理法則に支配されていますが、その法則は定数、あるいはパラメータと呼ばれる数値によって表されます。例えば真空中の光速度c (299、792、458m/s[秒速約30万km])などです。これらの数値は、実験や観測でしかわからず、理論的に定めることもできない、理由なき値といえるものです。しかし、これらの値がどれかひとつでも少し変わっただけで、この世界を大きく変えてしまい、生命が誕生することはありません。同じように、生命誕生には都合がいいが、なぜこの値になったのか説明ができない物理定数や宇宙を規定する値がこの世界にはたくさん存在します。この問題は、物理学者の間で「宇宙の微調整問題」として知られています。本書は、そんな不思議なパラメータたちに焦点を当て、その法則の役割や、もしその値が大きかったり小さかったりした場合に、世界はどのように変化してしまうのかを豊富なイラストとともに紹介します。物理定数や宇宙を規定する値は、一見とっつきにくいものばかりですが、それらの性質がわかるとより身近に感じられようになります。■目次まえがきChapter 01 宇宙の微調整問題Chapter 02 真空中の光速度:c Chapter 03 重力定数:G Chapter 04 プランク定数:h Chapter 05 単位の話とプランク尺度Chapter 06 電気素量:e Chapter 07 フェルミ定数:GFChapter 08 強い力の大きさ:αS Chapter 09 電子・陽子・中性子の質量:me、 mp、 mnChapter 10 ハッブル定数:H0 Chapter 11 宇宙の密度パラメータ:Ω0Chapter 12 宇宙定数:ΛChapter 13 ダークエネルギー状態方程式パラメータ:WChapter 14 宇宙の曲率:KChapter 15 宇宙のバリオン光子比:ηChapter 16 初期ゆらぎの大きさ:AS Chapter 17 素粒子の世代数:3Chapter 18 空間と時間の次元:3と1Chapter 19 エディントン数:1080Chapter 20 微調整問題は何を意味しているのか あとがき
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