■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 岩波新書 456 実存主義 松浪信三郎 (著) 1962年6月23日第1刷 岩波新書 定価150円 ────────────────────────────────────────────── あとがきより 実存主義は、ひとりひとりの人間に、人間存在の独自のありかたとしての自 由を発見させようとする試みである。われわれはともすれば事物存在や道具 存在と同様のありかたにおちいりがちであるが、そういう隷属から脱出する 自由の道を、われわれみずから見いだしていこうとする企てが、実存主義と いう名で総称されている思想の動向である。 この企ては、どんなに困難な社会的条件のもとでも窒息させられることはあ りえないであろう。反対に、もし安易な社会的条件のもとでわれわれがこの 企てを放棄するならば、われわれはみずから人間失格の道を選ぶことになる であろう。自由の代わりに惰性が支配するところは、もはや人間は存在しな いからである。 そういうわけで、実存主義はすべての人を従わせる唯一の教説をうちたてよ うとするのでもなく、われわれの行動を一定の政治的方向へ結集しようとす るのでもない。実存主義はひとびとがそこに身を寄せていれば何も考えない ですますことができるような安全地帯を提供するものではない。むしろ、反 対に、実存主義はすべての人がひとりひとり自己の自由の重荷を負うことを 要求する。そのことだけが、おそらく、実存主義の唯一の基点であろう。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
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