7年間かけて3億キロの彼方にある小惑星イトカワまで、星のサンプル採取に旅立った惑星探査機はやぶさ。そのサンプルが、砂1粒でも地球にもたらされれば、月以外の天体から人類が初めて物質を持ち帰ったことになる。そして新たに1000本以上の論文が執筆され、太陽系の歴史が書き換えられるとも言われている。2003年5月の打ち上げから、2010年6月の感動の地球帰還までの、その道中では、幾多のトラブルが発生し、スタッフからも「もうダメか」と落胆、悲鳴が何度も繰り返された。その試練を乗り越えて、やっと、やっと地球に帰還。そのドラマに満ちたな行程もさることながら、宇宙科学の常識を覆すほどの、山のような観測成果、工学的成果をもたらせてくれるに違いない。 世の中に出ている「はやぶさ」の情報は、ほぼすべてがJAXAの公式発表か記者会見に基づくもの。しかしこの本では、打ち上げ前から帰還まで、単独でプロジェクトチームに綿密な取材を続けた山根一眞が、他では知り得ない情報をふんだんに盛り込んだ。「はやぶさ」ファンも知らない未公開の事実や証言が続々と公開される。もちろん宇宙工学をはじめとする技術的なストーリーもわかりやすく解説されているので、宇宙の知識がなくてもその楽しさが伝わる内容になっている。2012年2月11日、全国ロードショーの映画「はやぶさ 遥かなる帰還」の原作。
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