712年成立の『古事記』と720年成立の『日本書紀』の両書はあわせて『記紀』とよばれています。これらの書物が編纂されてから1300年以上がたちました。この本は古代の王権を大王家・副王家による「両頭王権」と考え、これと世代数や世代間平均年数などをもとに、天皇の系譜と年代を検討したものです。私は『記紀』の天皇系譜や紀年に矛盾が多いのは『記紀』が改編されたためであると考えています。『日本書紀』の紀年は神武天皇の即位年を紀元前660年に改編したために、開化天皇・景行天皇・成務天皇を増補し、神武天皇から孝元天皇までの期間を6倍に延長し、崇神天皇から允恭天皇の間の期間を3倍に延長したと推定しています。最近私は『日本書紀』の紀年と『古事記』の干支に対応関係があることを幸運にも発見し、「3倍の延長の仮説」の立証ができるのではないかと期待してこの増補版を出版しました。多くの方々のご検討をいただきたいと思います。
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