「真夜中12時ぴったりに、教会の十字架のまえで、鉄のくぎを1本もつかっていない3本足の木のいすにのると、あくまがあらわれる。そのとき、あくまの大好物のけしのみをまきながら逃げると、あくまはけしのみを拾うのにむちゅうになって、追いかけてこない、という話だ。」 おじいちゃんからこんな言いつたえを聞いたぼくは、夜中にこっそり家を抜けだして、教会へむかった。いすにのって、12時の鐘の音を待つと——なんと、本当にあくまがあらわれた! でも、このあくま、なんだかちょっとへんなんだ。「うえーん、まってよぅ、けしのみいっぱい食べたいよぅ」なんて、泣くんだもの。 それでぼくは、あくまにもっといいものをごちそうするために、とっておきの場所へ案内してあげたんだ。 スロバキア在住の作家が、地域につたわる言い伝えから想像を大きくふくらませて創作した、楽しい物語。 村の家並みやこぢんまりとした教会などが丁寧に描きこまれ、中欧の雰囲気がたっぷり味わえます。
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