男の破滅願望が生んだ暗い妄想。大好評シリーズ「アルケミスト双書」から『闇の西洋絵画史』篇が登場! 西洋美術の「闇」の側面を浮かび上がらせる、妖しくも美しい西洋絵画史シリーズ(フルカラー)。著者は編集者で評論家の〈山田五郎〉。■著者・山田五郎より西洋絵画には、教科書には載せられない「影の名画」もあれば、逆によく見る名画に「影の意味」が隠されていることもあります。けれども、今日の感覚では不健全と思える表現や寓意も、描かれた背景を知れば納得でき、見え方が変わってくるはずです。西洋絵画の本質は、その最大の特徴である陰影法と同様に、光のあたる表面だけではなく闇の側面も見ることで、はじめて立体的に浮かび上がってくるのではないでしょうか。■本シリーズの特徴・1冊1テーマを詳説・類をみないユニークな切り口・1冊あたり約70作品を掲載・コンパクトで瀟洒な造本・本物の美術の教養に・ゲームや漫画他、創作のための資料としても■シリーズ*第1期【:黒の闇】篇〈1〉悪魔〈2〉魔性〈3〉怪物〈4〉髑髏〈5〉横死*第2期【:白の闇】篇〈6〉天使〈7〉美童〈8〉聖獣〈9〉楼閣〈10〉殉教■まえがき(〈2〉魔性)ファム・ファタルはフランス語で、直訳すれば「運命の女」。赤い糸で結ばれた良縁が原義ですが、もっぱら逆の意味で使われます。すなわち男の運命を狂わせて破滅に導く「魔性の女」という意味で。ギリシャ神話のメディアや聖書のサロメから、クレオパトラや楊貴妃まで、古今東西、虚実ない混ぜ様々な魔性の女が知られています。いずれも男を美貌と色香で惑わせ、不実と我儘で狂わせますが、それ以上に重要なポイントは、彼女たちの多くが無自覚なこと。つまり、男の方が勝手に惑わされたり狂わされたりしているだけなのです。魔性の女の正体は、男の他力本願な破滅願望といえるかもしれません。退廃的な厭世観が蔓延した19世紀末の西洋で特に好んで描かれたのも、決して偶然ではないでしょう。■目次(〈2〉魔性)◆I 聖書の魔性の女サロメユディトデリラバテシバイヴリリス◆II 神話の魔性の女スフィンクスセイレーンキルケーニンフメディアオンファレ◆III 実在の魔性の女クレオパトラメッサリーナエリザベス・シダルジェーン・モリス◆Columnヘロディア不釣り合いなカップルヴィーナス
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