源三郎は、広告代理店につとめる賞味期限切れのサラリーマン。その携帯に、昔の恋人小夜子からメールが飛びこんだ。「鞍馬が死ぬよ」とたったひとこと。源三郎と小夜子と鞍馬は、高校時代からの三人組、大の親友、のはずだった。そのひとりが急に死ぬ?なんでだ、ついこの間だってピンピンしていたじゃないか!数日後、源三郎は鞍馬が死んだことを知った。それも思いきり普通でない死に方で。いったい鞍馬の人生になにがあったというのだろう。謎解きがはじまる。源三郎は懸命に記憶をたどった。さらに小夜子が語り、悪徳警官だの生臭坊主だの、鞍馬を知るさまざまなひとが語りはじめ、しまいには死んだ鞍馬まで話しだして、ようやく見えてきたそれはなんだったのか?高度成長からバブルを経て、あたらしい世紀をむかえる時代を背景に、重い世界のヴェールを少しだけひきあげようとした人間の、煩悶と勇気と友情の物語。
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