産婦人科必修 母体急変時の初期対応 第3版: J-CIMELS公認講習会ベーシックコーステキスト ダウンロード

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本の説明

あらゆる職種の周産期医療関係者に標準的な母体救命法を普及させることを目的に設立された「日本母体救命システム普及協議会(J-CIMELS)」が主催する4段階の講習会のうち、急変発見から高次施設への搬送もしくは集中治療につなぐまでの母体救命対応を学ぶ「ベーシックコース」のテキスト。 新たに5シナリオを追加し、全17シナリオ収載。 【はじめに:母体救命のために,今こそシミュレーションを! 】 分娩を取り扱う者にとって最も怖いのは,正常な分娩経過をたどっていた妊産婦が急変することです.いったん急変すると,さまざまなショックの病態を呈し,一気に全身状態が悪化します.最悪の事態を避けるためには,妊産婦に特化した蘇生法を学び,急変に対応する必要があります.しかし,産婦人科医,中でも開業医の多くは,これまで救命処置や蘇生法について学ぶ機会がありませんでした 日本産婦人科医会の「研修ノート」や「母体安全への提言」でも,母体急変に対する対応の習得の重要性を説いています.さらに「産科危機的出血への対応ガイドライン」においては,危機的な出血が発生した場合に適切に対応するため「,各施設が置かれている状況を反映させた院内マニュアルを整備しシミュレーションしておくこと」が提言されています 新生児については,既に蘇生ガイドラインに基づいた救命処置セミナーが普及しており,新生児の救命率向上に寄与していることは周知のことです.しかし母体に関しては,急変対応に特化したプロトコールや,それに基づいた救命処置セミナーのプログラムは存在していませんでした「.院内マニュアルを整備」するにも,具体的に参考となるものがないのです.このような状況で「シミュレーションしておくこと」は困難です ここで「院内マニュアルを整備し,シミュレーションしておく」ことを目指すとき,障壁となるものは何かについて考えてみましょう.多数ありますが,主なものとして 1.妊産婦・褥婦の急変時に特化したプロトコールがない 2.シミュレーションの方法がわからない 3.蘇生の基本的な実技指導をしてくれるインストラクターがいない この3つに集約できると思います.われわれ京都産婦人科救急診療研究会では, 2010年から3年かけて,この3つの壁の克服に取り組みました 一般の救命処置トレーニングプログラムであるBLS(Basic Life Support)やALS(Advanced Life Support)の講習会は,各都道府県の基幹病院で頻回に開催されています.ただし,これらは一般成人の心・脳の循環不全への対応が中心となっており,これをそのまま導入しても,妊産婦の特殊な病態に即した十分な対応はできません.そこで, 2010年に京都府産婦人科医会は,京都大学医学部と京都府立医科大学の産婦人科学教室および救急部門の教室にお願いし「,母体急変時の初期対応:京都プロトコール」を作成していただきました このプロトコールも, NCPRやその他の蘇生コースと同様,座学だけではいざというときに使いこなすことはできません.シミュレーションを重ねて緊急時に反射的に対応できるように訓練しておくことが必要です.そのため,同じく2010年から,われわれは救急医の指導の下でプロトコールに沿った実技コースを創り,各地で開催してきました.シミュレーション教育に習熟している救急医と連携することで,上記の3つの壁を取り払うことができました プロトコールの目的は,母体の急変発生時に第一発見者が適切な救命処置と心肺蘇生を躊躇せずに行いつつ,機を逸することなく高次施設への搬送(総合病院であれば集中治療室入室)ができることです.実技コースでは具体的に以下の内容を「体で覚える」ことを学習目標に掲げています 1.バイタルサインから客観的に急変を認識できる 2.大量出血時に輸液・酸素投与を的確に実施できる 3.意識障害を的確に診断できる 4.マスクによる適切な補助換気ができる 5.呼吸停止や循環停止を速やかに判断できる 6.適切な妊産褥婦の一次救命処置を実践できる 7.迅速に高次施設に搬送できる(院内の応援を呼び集中治療につなぐ) これらは格別に難しいものではなく,開業医のみならず周産期医療に携わるスタッフ全員が理解しておくべき内容です.本書はこの京都プロトコールおよびコースの学びに必須の病態生理や基礎的知識を救急医の目線で解説し,代表的な産科疾患への対応をシナリオ形式で読み込むことで応用力が身に付くよう意図して編集したものです.対応が遅れて後手に回った症例をもとにシナリオを作り,臨場感を出すように努めました.J-CIMELSの実技コースの受講前後に読んでいただくためのテキストとなっています J-CIMELSの特色は,救急医と麻酔科医の協力を得ていることです.救急医には蘇生の基本的知識に加え,敗血症の診断基準や神経学的所見の取り方,搬送の基準などについてもわかりやすい解説を加えていただきました.また麻酔科医には産科麻酔における具体的な注意点についてご執筆いただきました.ショックの病態は,通常われわれが考えている以上に早い段階から始まっています.本書で救急医の指摘する急変の感知のポイントは,われわれ産婦人科医にとって大いに参考になります 実技コースの内容が実際の臨床に即して具体的であったこと,救急医から直接最新の救命法を学べることが評価され, 2015年には日本母体救命システム普及協議会(Japan Council for Implementation of Maternal Emergency Life-Saving System; J-CIMELS)の基本コースに採用され,現在までに数多くの産婦人科医,助産師,看護師,救急医が受講されています 第2版では2017年に変更になった日本蘇生協議会の蘇生ガイドライン2015で変更された点を加味して最新の内容に書き換え,またコース開催のたびに受講生からいただくご意見,受講生が陥りやすいピットフォールへの警鐘を反映させました.周産期(産褥)心筋症と,てんかんのシナリオを追加したことに加え,適切な対応をとった場合とそうでない場合との差異を実感していただくためのページを設けました.さらにこのたびの第3版では,第2版の刊行から2年間の母体死亡症例の傾向を考慮して, A群溶連菌感染による敗血症,局所麻酔薬中毒,全脊麻について学ぶためのシナリオを増やし,全体にわたり加筆修正を行っています 施設の規模に関係なく,周産期医療に携わる全員が母体急変の第一発見者になるリスクを負っています.このときの妊産褥婦の予後は,第一発見者の対応次第だといえます.その対応とは,まずBLS(Basic Life Support)を忠実に実行することです.母体の特殊性を加味したBLSをこのテキストで学び,実技コースを受けることで,いつでも使える技術として習得してください 救急医や麻酔科医にとって,母体は治療対象の中のほんの数%を占めるに過ぎません.それでも母体急変の治療成績の向上のため, J-CIMELSの活動に多大な時間を費やしてくれています.J-CIMELSは彼ら救急医との連携により,われわれが正しい蘇生法を学ぶことのできる機会を提供しています.このシステムを有効に利用していただき,周産期医療に携わるスタッフ全員が自信を持って急変に立ち向かうことが,母体の救命率の向上につながると確信しています.今後も母体死亡症例検討評価委員会の「母体安全の提言」の内容を盛り込みながら,本書と実技コースの改訂を繰り返していく所存です.ぜひ,本テキストを読んでいただき,実技コースで体を動かし,一緒に一歩前進しましょう 2020年3月 京都産婦人科救急診療研究会幹事 J-CIMELS幹事 ハシイ産婦人科院長 橋井康二

著者 産婦人科必修 母体急変時の初期対応 第3版: J-CIMELS公認講習会ベーシックコーステキスト:日本母体救命システム普及協議会/京都産婦人科救急診療研究会