物理学の父と呼ばれれる天才科学者アインシュタインはどんな宇宙観、人生観を持って生きていたのでしょう。彼の遺した言葉を彼の母語であるドイツ語で読むことを試み、そして日本語に訳してみました。 この作業を通して私なりに見えてきたアインシュタインはまずもって、この宇宙の根源なる神という存在に対して絶えず畏敬の念を抱いて生きていたという事です。どんなに探究しても決して至ることのない偉大な宇宙の叡智に対して、あくまでも謙虚な姿勢で研究に取り組んでいたのでしょう。次の言葉に私は心を打たれました。 “Wer aber erfolgreiche Schritte auf diesem Gebiete intensiv erlebt, der wird von einer tiefen Verehrung für die in dem Seienden sich manifestierende Vernunft ergriffen. Er gelangt auf dem Wege des Begreifens zu einer weitgehenden Befreiung von den Fesseln des persönlichen Wünschens und Hoffens und zur demütigen Einstellung des Gemüts gegenüber der in ihren letzten Tiefen dem Menschen unzugänglichen Größe der im Seienden verkörperten Vernunft. Diese Einstellung aber scheint mir im höchsten Sinne des Wortes eine religiöse zu sein.“ (1941) 日本語訳:「この分野で大きな成果をもって歩むという濃密な経験をする者は存在するものに顕在する叡智に対し、深い畏敬の念に打たれるであろう。彼は理解に至る途上で個人的欲望や願望という足かせから解放されるに至り、人間の最も深いところで至ることのできない、存在するものに具現化された叡智という偉大なるものに対し謙虚な姿勢に至る。この姿勢こそが宗教的であるという言葉の最高の意味であるように私には思われる。」(1941)また本書に納められたアインシュタインの言葉からは、ユダヤ人であった彼が当時のナチス政権とそれに同調した人々に対しやり場のない憤りを抱いていたことが読み取れるものも少なくありません。そんな激動の時代を生きたアインシュタインですが、ユーモアにあふれた気さくな人柄であったと言われています。下記の言葉に私は思わず吹き出してしまいました。 Manche Männer bemühen sich lebenslang, das Wesen einer Frau zu verstehen. Andere befassen sich mit weniger schwierigen Dingen z. B. der Relativitätsheorie. 生涯をかけて女性という存在を理解するために努力する男性がいる。それよりも難しくないことに取り組む男性もいる。例えば相対性理論とか。今回ははアインシュタインの言葉を断片的に集めてみましたが、その作業を通して私は彼の教育観にとても興味を持つようになりました。いずれ教育に関する彼の文書を集め、翻訳を試みたいと考えています。
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