なぜ18世紀末から急速に奴隷制と奴隷交易は廃止されていったのか? そして、「解放」された人びとにいかなる「自由」をもたらしたのか? 世界的共通体験となった奴隷廃止から現代に残された課題と向きあう 人類史に長く存在した奴隷に対して、廃止の動きがなぜ、18世紀の後半から世界的に急速に動き出したのか。イギリス、アメリカ、タイ、オスマン朝、そして日本を比較し、グローバルヒストリーとして奴隷制、その廃止をめぐる動きをとらえ、現代において解決すべき課題に迫る。 【主要目次】 序章 奴隷廃止という世界史的共通体験 1 奴隷制と私たち 2 世界史的共通体験としての奴隷廃止――本書の目的 3 本書の方法論 第1章 新大陸と啓蒙の時代 1 大西洋奴隷貿易 2 新大陸におけるアフリカ黒人を用いた奴隷制の展開 3 アフリカ黒人が奴隷化される正当性 4 啓蒙思想 5 奴隷交易とサハラ以南アフリカとグローバル・ヒストリー 第2章 環大西洋奴隷廃止ネットワーク 1 クエイカーたち 2 奴隷交易廃止協会 3 現実感を伴った想像力 4 革命の時代へ 第3章 大いなる矛盾――19世紀前半の大西洋とインド洋西海域 1 奴隷交易廃止から奴隷制廃止までの長い道のり 2 インド洋西海域 3 想像と現実との距離 第4章 グローバル/ローカルなポリティクスとしての奴隷廃止――あるいは手段化する奴隷廃止 1 合衆国の維持と奴隷廃止 2 輝かしい近代化へのひとコマとして、国民誕生の助走としての奴隷廃止――ラッタナーコーシン朝の場合 3 内なる奴隷の「発見」――芸娼妓解放令と東アジアにおける奴隷概念の伝播 4 廃止される奴隷制、廃止されない奴隷制――国際社会のなかで 第5章 解放しない人びと、解放されない人びと、新たに加わる人びと 1 奴隷たちの去就 2 労働力の争奪戦 3 年季契約労働制 4 年季契約労働制の廃止――再び自己と他者をめぐって 終章 奴隷廃止は人類に何をもたらしたのだろうか br> 1 本書の論点 2 世界史的共通体験の行く道
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