「この男にとことん惚れたのは間違いではなかったーー」 中世という時代と法王という権威に抗い続けた、激動の生涯を描く傑作歴史長編 12世紀が終わる頃、神聖ローマ皇帝とシチリア王女の間に一人の男子が生まれた。少年は両親をはやくに失い、絶大な権力をもつ法王の後見を受けたが、帝位に登り、広大な領土を手中にすると、法王との関係が緊張。法王に十字軍遠 征を約束するが、剣ではなく交渉を選んだことでますます反感を買い、ついには破門に処されてしまう……。生涯を反逆者として過ごした中世を代表する男の傑作評伝。 著者の筆は、円熟の域に既に十二分に達しているので、とても読みやすい。フェデリーコの横顔が刻まれた「アウグスターレ」金貨を30年以上にも渡って探したという、意外に人間くさいエピソードも明かされる。ともあれ、本書を紐解いて、中世にもフェデリーコのような魅力満載の人間がいたことを、1人でも多くの人に知ってもらいたいものだ。歴史は本当に面白い。ーー出口治明(HONZより) 作家ならではの一貫した物語構成と描写の巧みさにより、一気に読ませる筆力はさすがである。「笑ってしまう」との表現が頻出することからも窺えるように、じつに楽しげに書いているのが印象的だ。フリードリッヒの人柄と偉才の描写はもちろんのこと、彼を支える腹心たちについての記述も素晴らしい。長年にわたって書き継がれてきた塩野歴史小説の、まさに到達点というにふさわしい出来栄えである。ーー池上俊一(日経新聞より) 人間が主人公である限り、あらゆる時代の、あらゆる地域の歴史を調べることは、すべて現代の私たちを理解するために有用な作業なのである。異なる歴史をより深く解釈する者にしてはじめて現代史に鋭い視線を投げかけ得るのであり、現代社会を深く洞察できる者こそが過去の社会を鮮やかに復元できる。この意味で、塩野七生は卓越した歴史家である。中世をテーマとする本書は、現代社会を、何より雄弁に物語るのだ。ーー本郷和人(波より) 上巻*目次 読者に 第一章 幼少時代 第二章 十七歳にして起つ 第三章 皇帝として 第四章 無血十字軍 第五章 もはやきっぱりと、法治国家へ 第六章 「フリードリッヒによる平和」(Pax Fridericiana) 下巻*目次 第七章すべては大帝コンスタンティヌスから始まる 間奏曲(intermezzo) 第八章激突再開 第九章その後
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