言語を用いて対人・対コミュニティサービスに関わる専門家にとっての「場」は、マンツーマンの対話から協議会形式まで実に多様であるが、いずれも会話記録ないし会議録が証憑(エビデンス)として重要視されるようになってきた。また近年では情報公開を徹底する社会的要請があり、第三者が事後的に振り返り確認できる記録としてなるべくありのままに残す傾向になってきている。結果として録音した音声を残せばよいということになっている。 本書で紹介する分析技法は、対話形式のデータを対象にしてテキストマイニングを行うものである。音声認識ソフトが近い将来に多人数の会話であってもそのままテキスト文書に変換することが可能となることを見込み、テキストマイニングと会話分析という手法に着目した。 つまり多人数の会話の音声をテキストファイルに変換するソフトが開発された際には、討議内容をリアルタイムでデータ化できるようになり、多くの部分をリアルタイムで分析できるようになるだろう。本書のタイトルが「会議録分析」ではなくて「討議分析」としているのはそこに理由がある。換言すれば、本技法は事後的な分析のみならず、討議の中での同時的分析も念頭に開発された。また事後的に蓄積されていくビッグデータを使って何ができるのか、も大いに問われることとなるだろう。事後的であれ同時的であれ、本技法はその時代に本来の機能を開花させるであろうと考えている。 デジタル化されたデータの一部はWeb上でも入手可能となっている。しかし、これまでは成員が多数に及ぶ場合ないし長期にわたるようなケースにおいてはテキストデータ量が膨大になる。それを要約するソフトは市中にあふれているが、どれも対話形式を壊してしまうものばかりである。人間の発話は前後の対話と相対的に意味づけられるものである。それゆえに対話形式を壊してしまうと本来の意味が壊れてしまうことが多い。また、一度壊してしまうともとの発話に戻れず、その先でミクロな分析ができなくなるという根本問題を抱えていた。 そこで本技術では、長期間に渡る対話記録をその対話形式を壊さずに大きく縮約し、そこから重要な会話群のみを抽出する。そして、その過程をシステム化し、他者とも共有可能にすることによって、そのプロセスの客観性について検証できるようになっている。 なおテキストマイニングや会話分析は顕微鏡観察とよく似ている。全体の構造が分かっていなければ見えたものをどう評価してよいのか分からない。全体の構造を予測することが非常に重要であり、本書はその方法に主眼を置いている。【目次】序 第1章 本書のねらい 第1節 研究の背景 第2節 本書の目的 第3節 本書の構成第2章 当該技法の手順 第1節 会議録コーパスの作成 第2節 データベースの作成 第3節 コミュニケーション構造図の作成 第4節 リーダーシップ構造図の作成 第5節 会話分析シートの作成第3章 解説 第1節 技法としての全体像 第2節 当該技法の手順 第3節 当該技法の適用限界 第4節 小括 さいごに
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