■書名:「零戦の振動(The Vibration of Zero Fighter)/ 機体振動とエンジン・プロペラ振動のメカニズム」 ■発売日:2019年9月下旬 ■A5サイズ / モノクロ全210ページ / ソフトカバー ■概要:今から82年前に開発がスタートした零式艦上戦闘機「零戦」。今では世界的に広く知られる有名な飛行機ではありますが、その実用化に至る過程では数々の技術的問題が発生しました。中でも最後まで大きな障壁となった機体振動は、対策されたのちにも再発し、原因究明が難航したことで知られています。普段、CAEを用いた振動解析業務に従事する筆者が零戦にまつわる各種文献を調査し、その結果、明らかになった零戦の振動メカニズムを一冊の本にまとめました。振動の基礎事柄を交えながら、図表やイラストを多数織り込み、技術系の方だけでなく、零戦にご関心をお持ちのすべての方に、その技術史を知っていただけるよう努めました。機体振動に関しては、フラッタによる空中分解事故の根本的原因に加え、零戦の機体強度にもスポットライトを当て、これまであまり触れられることのなかった新たな零戦の側面もご紹介しています。エンジン・プロペラ振動に関しては、レシプロエンジンやプロペラの振動次数成分を数式を使わず、簡単なグラフの重ね書きによって解説しています。エンジンの2次慣性力による振動問題や2次バランサ(防振装置)の開発がどのように戦局に影響を及ぼしていったのか、その経緯から当時の技術競争の焦点が見えてきます。 ■本書で扱う技術項目: 未開拓な技術領域で遭遇した零戦の技術課題 - フラッタ、共振周波数と固有モード、主翼の振動特性、風洞試験模型、弾性主軸、断面2次モーメント、飛行機の強度と耐空類別(耐空性審査要領)、機体の操舵系統(サイドスリップと被弾回避操作)、飛行機の速度(計器指示速度, 較正対気速度, 等価対気速度, 真対気速度)、飛行機の燃費(航続性能と燃料消費率)、飛行機の失速速度・離陸速度・設計運動速度・設計巡航速度・設計急降下速度・超過禁止速度、回転機械の次数成分、プロペラの振動次数、慣性モーメント(イナーシャ)、パラメトリックエクサイテーション(係数励振)、レシプロエンジンの燃焼起振力と慣性起振力、慣性力・慣性偶力の次数計算(直列4気筒, 6気筒, 水平対向4気筒, 星型複列14気筒)、2次振動(2次慣性力)と2次バランサ、星型複列14気筒エンジンの振動、零戦がもたらした振動技術革新 ■著者: 安藤 隆幸 CAEエンジニア / 事業用操縦士(飛行機)。1969年生まれ。1992年、日本大学卒業後、国内自動車メーカーおよび航空機メーカーにおいて解析シミュレーション業務に従事。その後、アメリカ・ボーイング社勤務を経て、2005年、株式会社エアロメカ(横浜市)設立。主に振動設計における解析シミュレーションおよび実験評価を経験。 ※CAE:Computer Aided Engineering(コンピュータシミュレーションを使用した製品設計技術)
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