新旧17判例(憲・民・刑)を取り上げ、事実関係に重点を置いて解説した“新感覚判例集"。各判例解説のリードとなる著者創作漫画も必見! ◆「はじめに」より どれだけ著明で重要な判例も、その発端は、社会に生じた人と人(ときには人以外)との生身の関わりや思いであり、それに何らかの解決をもたらすために提出された一つの訴状、起訴状であったはずです。そして、そこには法律家として興味を持つべきか否かという視点を超えたドラマや面白み、悲哀が眠っています。人がこれまで積み重ねてきた営みの産物であるという点で、判例・裁判例の規範は詩歌や偉大な発明と異ならないからです。 「やまと歌は、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける」 これは古今和歌集仮名序の冒頭の言葉ですが、私は、判例の判旨という「万の言葉」を生む元となった「種」の部分にこそ光を当てたいのです。 そこで本書は、そうした著明・有名な判例の事件について、普段私達が見ている視点を一旦離れ、具体的事実関係や事件を取り巻く事情を多く掬い上げることを意識して紹介しています。また、最上級審の判断だけでなく、できる限り第一、二審や差戻後の帰結についても触れることを心掛けています。 本書が、これまで幾度となく目にしてきたであろう数々の判例について、その新たな一面をあなたに気付かせるきっかけになったとすれば、これほど嬉しいことはありません。 【目次】 春判例 ●空飛ぶ座布団とハンカチ(大判大正13年4月25日) ●身内が他人! ?(最判昭和47年5月30日) ●汝、破綻前に姦淫するなかれ。(最判平成8年3月26日) ●サッカーボールの行方(最判平成27年4月9日) 夏判例 ●ねらわれた動物(大判大正14年6月9日) ●109+110=219?(最判昭和45年7月28日) ●地鎮祭やめますか、それとも政教分離やめますか。(最判昭和52年7月13日) ●魔法の電話であなたにもキャッシュバック(最決昭和61年6月24日) 秋判例 ●あなたはもう忘れたかしら 老舗は売ろうねって言ったのに(大判大正14年11月28日) ●止まれなかった電車、生まれたものとみなされた子ども(大判昭和7年10月6日) ●ねらわれた温泉(大判昭和10年10月5日) ●被害者の「あるがまま」ではなく。(最判平成8年10月29日) ●私の父は私が生まれる1年前に亡くなりました。(最判平成18年9月4日) 冬判例 ●過失とは「予見すれども回避せず」(大判大正5年12月22日) ●とらえる地下鉄。そして、とらわれる乗客。(最判昭和63年12月20日) ●そのとき総理は動いた。(最判平成7年2月22日) ●当選金額1980万円が必ず当たる特別抽選(最決平成29年12月11日)
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