静かな森の中。松の木の巣穴の奥からアカリスが見ている。ヤマナラシの木の上からは子グマの兄弟が見ている。木立の向こうからはトナカイが見ている。絵本に登場する動物たちの、じっとこちらをみつめる瞳には、読み手を一瞬にして静謐な森の奥へ誘う力があります。そして梢や木陰からあらわした姿をみると、まるで実際に森の中で出会ったような驚きを覚え、読後には深い森を旅してきたような余韻が残ります。作者は、北米ノースウッズの森で野生の動物や自然を撮り続けている写真家、大竹英洋さん。ノースウッズとは「米国とカナダの国境付近から北極圏にかけて広がる北米の湖水地方」をいいますが、そのような広大かつ厳しい自然環境の中で、野生の生き物に出会うこと自体、非常に困難なこと。写真は、その一瞬一瞬を大事に撮ったものばかりです。動物たちの息づかいや葉擦れの音まで聞こえてきそうな森の世界を味わってください。
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