真田大輔は過去の罪業を背負いながらコンビニの夜勤で働いていた。その罪業とは過去付き合っていた女が癌との闘病中、その下を逃げるように去ったこと。しかも彼女との間には流産した子供もいた。そのふたつが彼の心を未だ罪に苛む。そんな折、彼の下に猫連合福祉協会(通称ネコレン)なる団体からひとりの初老の男が訪ねてきた。彼は団体の趣旨を話す。「あなたが亡くした最愛の人との再会をお約束します」亡くした子との再会、それは真田にとって救いを意味した。縋る彼にその団体員は言う。「御霊を移す器は猫です」猫?彼が言うには猫はこの世に九つ命を持って生まれて来るという。その命のひとつに亡くした最愛の人の御霊を映し、提供するというのがどうやらその団体のビジネスらしい。どうにも胡散臭い思いを拭えないまま真田はそのサービスを受けることを了承する。しばし後、店に餌をねだりに来る黒猫が子供を生んだ。その黒猫に求められるまま子猫達に甲斐甲斐しく餌をやる真田だが、そのうちの一匹、白黒パンダ柄の猫にいつしか我が子を生き映すようになる。その猫を我が子に見立てて可愛がれば可愛がるほど、真田の不安は募った。「彷徨う御霊を」とネコレン団体員は言ったのだ。我が子の魂は未だ成仏できずにいるのではないか?その不安を払拭すべく真田は過去の女に連絡を取ることにした。果たしてふたり、流産した子の亡骸を桜の樹の下に埋める。そして彼女は我が子が生き映ったという猫に逢うため、真田が働く深夜のコンビニに足繁く通うことになるのであった。しかし、そのコンビニが経営危機に陥る。真田と彼女、そして猫の家族団らんの場が奪われるかもしれない。真田は決意し、そのコンビニを再生すべく「市場プロジェクト」を立ち上げた。果たしてそのプロジェクトは成功するのか?そして我が子が生き映る猫を媒(なかだち)にしたふたりの想いは通い合うのか?人もその想いさえも交差させる縦横な市場はどんな奇跡をそこに起こすのか?市場の奇跡が桜の開花に合わせて今、花開く。愛の詩が鳴り響く市場の奇跡の物語。
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