バンコクは、まさに人種のルツボといってよく、色とりどり、大小さまざまな人間が世界中から集まっていて、しかもタイ人自体が北から南まで、東から西まで、四つの他国と接する広大な国土(日本の約2倍)にふさわしい多彩な民族であるから、見ていて飽きないほど。 その国際都市を舞台に、グルメ巡りをはじめてみよう。中心となるのは、むろんタイ料理。中国やフランスや日本は、ほとんど我の出る幕ではない。語りつくされているといってよいからだが、タイ料理については、まだ隙間があるにちがいない。代表的なスープ(これは世界三大スープに入るだろう)を、多くの日本人が「トムヤムクン」と言っているうちは、まだまだ隙間だらけ。包丁を入れる余地は多分にあると思われる。(「はじめに」より)※本書は、ブログ『笹倉明の「週刊アッ!くん」』に連載された同名の記事(2009年~2011年、全199記事)のうち、記事番号1~40を電子書籍化したものです。著者との電子書籍出版契約をもとに編集・電子出版しております。◇◇◇プラ・アキラ・アマロー(略歴)俗名-笹倉明(ささくらあきら)作家・僧一九四八年兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒。八〇年『海を越えた者たち』(すばる文学賞入選)でデビュー、八八年『漂流裁判』でサントリーミステリー大賞、八九年『遠い国からの殺人者』で直木賞を受賞する。主な作品に、『東京難民事件』『昭和のチャンプ ― たこ八郎物語(「海に帰ったポクサー」)』『にっぽん国恋愛事件』『砂漠の岸に咲け』『女たちの海峡』『旅人岬』『推定有罪』『愛をゆく舟』『ふたりの滑走―「新雪国」改題』『雪の旅―映画「新雪国始末記」』『復権 ―池永正明三十五年間の沈黙の真相』『愛闇殺』等。近著に『出家への道―苦の果てに出逢ったタイ仏教』がある。二〇一六年、チェンマイの古寺にて出家し、現在に至る。◇◇◇表紙画像:著者による(左上から右へ、下へ)・タイの唐辛子各種・ナマズの炭火焼き・若い青い胡椒(プリック・タイ・オーン)・トムヤム・カイ・市場のマナウ売り場
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