クーラント(Courant) とヒルベルト(Hilbert) による著作 『数理物理学の方法』の第I巻は,数理解析,応用数学,物理学の専門家を 育成する際に決定的に重要な,互いに有機的なつながりをもつ一連のテーマへの導入である. 本の内容は,解析的な立場で線形代数を述べることから始まる. その結果,無限次元の関数空間およびそこで働く作用素への一般化が ごく自然に行なわれ,特殊関数を含む直交関数系の議論が展開される. 同様な見方によって,(積分方程式についての)フレドホルム(Fredholm) の理論が, さらには,変分法の基礎事実が述べられる.連続体の力学系の振動に関する内容豊富な章も設けられているが, それは常微分方程式と偏微分方程式の固有関数の理論の行き届いた考察でもある. 初版の刊行以来70 年になる現在でもなお, 本書は上記のテーマへの卓越した入門書として役立つのである. 読者は,テーマの核心をなす理念に向かってソフトにしかもスピーディに導かれると同時に, 技巧的な詳細にわずらわされることなしに,これらの理論の応用を学ぶことができる. 記述の仕方は,いわゆる「定義/定理/証明」のスタイルとは対極をなすものであり, 式と式の間には多くの語りが加えられている.このことだけでも, クーラント?ヒルベルト本の新たな版の刊行は意義があるといえよう.
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