【本書「はじめに」より】量子色力学(以降、QCD)とは、素粒子物理学において、SU(3) ゲージ対称性に基づき、強い相互作用を記述する場の量子論です。カラーSU(3) の電荷を持つディラック場(クォーク)同士の相互作用を媒介するゲージ場はグルーオンです。ここでは、このグルーオンと相互作用するディラック場についてのQCD ラグランジアン密度を、クォークもグルーオンも共にフェルミオン・ボゾンの二重性を持つようにアレンジしてみました。現行理論におけるQCD の式は「フェルミオン型クォーク+ボゾン型グルーオン」で構成されているのに対して、本書では「フェルミオン型クォーク+ボゾン型グルーオン+ボゾン型クォーク+フェルミオン型グルーオン」としました。すべての物質が「波」と「粒子」の二重性を持つように、QCD を構成するクォークもグルーオンも、それぞれ「フェルミオン」と「ボゾン」の二重性を持つと考えたのです。すると当然、「ボゾン型クォーク、フェルミオン型グルーオンとは、何ぞや?」という点が気になりますが、これはまだ中身が完全には理解されてない「超伝導状態で存在する」と考えました。既存の理論では超伝導体の振る舞いは、物性物理すなわち応用物理学で取り扱われていますが、素粒子論のラグランジアン密度の中に入れるべきであると考えるのです。なお、アレンジしても、既存の理論から踏襲すべき点であるローレンツ不変性・ゲージ不変性は、そのまま成立するようにしました。この変更により、以下のメリットが得られます。1. 本書で考案したボゾン型のγ行列を使うことにより、自由度を2しか持たないボゾン型グルーオンを2次元でローレンツ不変性・ゲージ不変性を持たせ、拘束条件、ゲージの固定を行わずに、QCD を正準量子化出来ます。これにより、ゴースト場、補助場が消えてシンプルな式が得られます。2. 超伝導体の中にボゾン型クォーク、フェルミオン型グルーオンが存在すると仮定することにより、新粒子を用いず、「フェルミオン型クォーク+ボゾン型グルーオン+ボゾン型クォーク+フェルミオン型グルーオン」の構成でフェルミオン・ボゾンの対称性を持たせることが出来ます。3. 原子核の質量起源について、質量を有するフェルミオン型グルーオンを追加することにより、シンプルに説明することが出来ます。4. このフェルミオン型グルーオンの質量は、フェルミオン・ボゾンの対称性を持たせた場合、更に高いゲージ対称性とローレンツ対称性を保存させるために生まれることを導出できます。5. 現行のQCD では、プロカ・ラグランジアン密度の質量項を人為的にゼロにしてましたが、フェルミオン型グルーオンに質量を与えることで、自然な形でラグランジアン密度に残すことが出来きます。そして上述した拘束条件、ゲージの固定と共に、QCDの数式から任意性が全て消え去りすっきりします。6. また強い相互作用で発生する斥力芯の起源について、フェルミオン型グルーオンが持つマイスナー効果によって発生すると考えると、シンプルに説明することが出来ます。なお、強い相互作用で通常作用する引力はボゾン型グルーオンであり、引力が斥力に変わる際は、ボゾン型グルーオン→フェルミオン型グルーオンに変化すると考えます。7. そして核内で発生するフェルミオン型クォークが有するパウリの排他律原理は、フェルミオン型グルーオンによるマイスナー効果とボゾン型クォークの磁性に基づくものであると理論づけることが出来ます。これにより「なぜパウリの排他律原理が作用するのか?」そのメカニズムを、理論的に説明することが出来ます。8. このフェルミオン型グルーオンとボゾン型クォークの磁性が有するマイスナー効果(排他律)により斥力が発生して、くりこみ理論を使わずにQCD の無限大を解消できる可能性が生まれます。ご注意;本書の内容は、あくまでも既存の数式をいじってアレンジしたものです。QCD を初めて学ぼうとされる方は、教科書をお読みください。また、本書はフェルミオン・ボゾン二重性を用いたQED を纏めた「数式探偵倶楽部著"素粒子論の奇妙な数式 量子電磁気学アレンジ編"」のQCD への適用版です。併せて、お読み頂きましたら幸いです。【主な内容】I. はじめにII. フェルミオン・ボゾンの二重性を持つQCD とその正準量子化A. 現行のQCD の正準量子化B. フェルミオン・ボゾンの二重性を持つQCD の正準量子化1. 現行のQCD の式との比較2. 正準交換関係を確認する前の準備作業3. 正準交換関係の確認4. フェルミオン型クォーク・グルーオンとボゾン型クォーク・グルーオンの違いIII. フェルミオン・ボゾンの二重性を持つQCD の式の解釈A. 式の解釈概要IV. フェルミオン・ボゾンの二重性を持つQCD のゲージ不変性、ローレンツ不変性、グルーオンが質量を獲得するメカニズムについてA. ゲージ不変性の確認B. ローレンツ不変性の確認C. グルーオンが質量を獲得するメカニズムV. 結論A. フェルミオン・ボゾンの二重性を考慮した核力の発生メカニズムの説明B. フェルミオン・ボゾンの二重性を考慮した原子核の質量構成の説明C. 今後の課題VI. 計算プログラムの添付References
人気のある作家
ニュートンプレス (39) 今泉忠明 (28) 科学教育研究協議会 (23) ナショナル ジオグラフィック (21) オーム社 (21) 齋藤 勝裕 (20) できるシリーズ編集部 (18) standards (18) 田邊 卓 (17) 日刊工業新聞社 (16) 中山 茂 (16) 青木 薫 (15) 群馬県立自然史博物館 (13) 岩合光昭 (13) (12) 稲垣 栄洋 (12) 結城 浩 (11) 科学雑誌Newton (11) ニュースダイジェスト社 (11) 川俣 晶 (10)最適なファイルサイズ
189 KB 188 KB 218 KB 101178 KB 10144 KB 10249 KB 102587 KB 10262 KB 10297 KB 103397 KB 103400 KB 10340 KB 1034 KB 104907 KB 105017 KB 105183 KB 105675 KB 10674 KB 1067 KB 107341 KB