熊本県の小さな離島の、半農半漁の村に生まれた洋司は、小学校へ入学する前から、吃音というハンディキヤップを背負った少年である。洋司は中学校を卒業後、単身、九州本土の水俣市の高校へ入学する事になる。 一軒目の下宿先は、洋司の父の従兄弟で、洋司が入学した高校の先生の家である、その家には先生の他に、一年先輩の同じ高校の先生の長男と、次女のまさみちゃん、三女のみずえちゃんと、先生の奥さんが住んでいる。 その下宿先での、まさみちゃんとの葛藤が洋司を悩ませる、そして下宿を移る事になる。二軒目の下宿先は、水俣駅の近くで、この頃から社会問題化が始まろうとしていた、水俣病の原因企業だと追及して、会社の正門前に座り込む人などがいる場所からも近い所で、吉田さんという人の家である、ここは吉田さんの奥さんがやっている、セミプロ的な下宿屋さんである。吉田さんの家で、吃音というハンディキヤップを背負った少年の、他人の中での完全な一人暮らしの始まりである。多分、会社からの廃液が原因だと言う患者とその家族、その支援者の人達、漁業に従事している人々、又、原因企業だと言われている会社の人達の事などを、少年の目で見て、どちらが正しいとかどちらが悪いとかを抜きにして、見たままを述べています。そして吃音を克服してからの、三軒目の下宿先である川島のおばちゃんの家での出来事、修学旅行の事、入社予定の会社での実習終了の後、銀座の喫茶店アシベで、松尾和子の歌を聞いた時の喜びと感動、そして三軒目の下宿先で、洋司の身の回りの面倒を見てくれた富ちゃんとの思い出を綴った物語です。この中から、吃音という苦しみに向かい合いながら克服した過程と、そして最後の章で、数十年の時を経て水俣病認定の、審査の状況を順を追って書いています。
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