尊厳ある人生の最終段階を過ごしてもらうためにも、医療や介護に対する本人の希望を事前に聞いておくこと、すなわちアドバンス・ケア・プランニング(ACP、人生会議)の実施が医療介護現場で求められています。本書は、その入門書であり、かつ実践マニュアルとして、ACPとは何か、どうすればACPを実践できるのかを、難しい倫理の話はさておき、分かりやすく、かつ楽しく解説します。 本書の最大の特徴は、医療介護の現場でのよくある症例を取り上げ、ACPの進め方を会話形式で紹介しているところです。この会話集は現場で明日から活用できる台本にもなります。会話集を頭に入れて話を始めるだけで、あら不思議、すぐにだれでもACPを上手に実践できるようになります。なぜなら、本書は、日本のACPの先駆者として日々現場でACPを行っている医師とケアマネジャーが、そのノウハウをあますことなく披露している一冊だからです。 本書を特にお薦めしたいのは、こんな読者です。 ◎その1;終末期について話をすることは「縁起でもない」とタブー視されることが多いため、そもそも、ACPの会話をどう切り出していいかも分からないあなた。本書には、患者・利用者に嫌がられることなく、自然に話を切り出すための話術が紹介されています。苦手だったACPの会話がスムーズに、かつ明るく進められるようになるだけでなく、本書のスキルを身につけることで、患者・利用者から信頼される人、頼られる人になれます。 ◎その2;医師、看護師、ケアマネジャー、介護士など様々な職種が関わる終末期。医療者の中で意見が割れ、悩まれているあなた。みんな真摯に向き合うからこそ、意見が割れる、そんな場面を丸く収めるとっておきの方法も紹介しています。 ≪目次≫ 【理論編】 ACPを頭とハートで理解する ACPって何ですか? ACPの理論は分かった、でもどうやるの? 本人にとっての最善の考え方 本人にとっての最善をどう実現する? 意思決定能力って何だろう 代弁者の決め方 情報をつないでACPの実現を 【実践編】 ACPをやってみる(ロールプレー付き) ACPの進め方 コミュニケーションの基本 「もしものとき」について一緒に考える 代弁者を尋ねて、どこまで委ねたいかを確認する 代弁者と医療選択について話し合う
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