口コミで広まった人気小説シリーズの第1巻。東日本大震災が起きるちょうど1ヶ月前に出版されて話題になる。福岡正信さんが提唱した国民皆農論(自給自足論)、川口由一さんの提唱する自然農、パーマカルチャー、エコビレッジ、経済のローカル化、水瓶座の時代、ヘンプ、地域通貨、アサーション・トレーニング、コーチング、里山と森、古民家、ドームハウス、先住民の文化、縄文、お金のない社会とお金のある社会、近江商人の成功哲学、ロケットストーブ、コンポストトイレ、古民家など、半農半Xな暮らしやスローライフのキーワードが次から次へと出てくるマニアにはたまらない内容。エコビレッジづくりに興味のある人たちの間では、一部教科書として利用されるほど、実用書的な内容でもある。ストーリー大地震が関東を直撃し、その後経済が崩壊する。石油、食料などの物資の供給がストップする中、政府の要員は海外へ逃げ、無政府状態となる。飢え、病気、寒さなどで人口の大多数が命を落とす。かろうじて生き残った人たちは避難場所を探すが、逃げる場所がない。電気、ガス、水道などのライフラインがストップし、車も燃料で動く機械もすべて使えなくなった今、農家にさえ食料がなくなっていた。そんな中、栃木県のある場所では、こうした事態が来ることを予測し自給自足型のエコビレッジが建設されていた。百姓ビレッジと呼ばれるそのコミュニティでは、有機農法、自然農、パーマカルチャーなどをベースにした食の自給が行われ、薪、太陽光、バイオマスなどによるエネルギーの自給も進められていた。唯一の避難場所として、避難民が押し寄せる。食とエネルギーの自給だけでなく、服や道具などの生産活動も必要になり、百姓ビレッジでは新しい生産システムを一からつくりあげていく。生産活動だけでなく、政治、教育、医療、芸術、メディアなどすべての国家機能をつくりなおす必要があり、新しい国づくりが始まる。ただつくりなおすのではない。崩壊をチャンスと捉え、理想郷を目指し、すべてを全く新しいものにつくり変えていく。
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