永禄6年(1563年)、西肥前の覇者は島原半島の有馬仙岩であった。この有馬仙岩の号令で大村純忠や西郷純尭、平井経治、そのほか大勢の西肥前の部将らが小城郡へと侵攻し、今の小城市の芦刈町・牛津町・小城町で激しい戦いを繰り広げた。 この戦いは今まで研究の対象にすらならなかったが、地元の郷土史家が史料研究と度重なるフィールドワークを通して考究したのが本書である。 この丹坂の戦いの敗北で有馬家の傘下の西肥前の武将らは離反し、西方は四分五裂し、龍造寺隆信は大友宗麟と有馬仙岩の東西の挟撃の危険からようやく解き放たれ、西目(牛津川以西)に逆侵攻できるようになった。この丹坂の戦いこそが隆信の桶狭間の戦いであり、その智謀と用兵の妙を遺憾なく発揮した戦いであった。
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