昨年末に発刊しました「模型で知る第1次世界大戦機」が,想定を越えて多くの方にお読み頂けているようで大変嬉しく思っております。実は,今回の著書は,前著よりも前から編纂を始めたもので,元々は第1次大戦機の模型作りのために,当時の飛行機の情報を調べ始めたのが発端でした。ひとつの疑問の解答を得るために,新たな疑問点を解決するという作業の連続となり,知的好奇心の赴くままにそれらを芋づる式に引っ張り出す作業によって,覚え書きが貯まっていきました。今回,それを再検証して本として編纂したものが本著になります。気づくと500ページを越える見込みとなってしまい,完成を早める為にも4巻に分割し,1巻ずつ出版することにしました。本著は序巻として,続巻の理解を深めるための予備知識となるように,黎明期前後の航空機に留まらず,それに関わる欧州の工業技術の発展を俯瞰するように編纂しました。また,フランスのベル・エポックと呼ばれる時代の匂いが感じ取れるようにまとめたつもりです。続巻の第1巻はフランス編,第2巻はドイツ・オーストリア=ハンガリー編,第3巻はイギリス・イタリア編の予定です。飛行船や自動車,バイク,鉄道,船舶などにも少しずつ触れていますので,飛行機の情報だけを目的にされている方には物足りないかも知れません。しかし,飛行機が生まれて発展していく時代そのものを知ることで,新たな切り口で飛行機を捉えることが出来るのではないかと思います。逆に言えば,飛行機に限定せず乗物全般や機械が好きだ,という方にも楽しんでもらえるのではないかと思っています。本著は2部編成にしました。前編では,黎明期を代表する航空機の設計者とそれに纏わる工業技術の推移,発展の過程で生まれた人間関係などにも触れています。後編では,第1次大戦機の構造や装備に焦点を当てたので,模型を作る際の参考になるかも知れません。ただ,第1次大戦機に搭載された個別のエンジンに関しては其々の続編で詳しく紹介しますので,本著のエンジンの項目ではエンジンという機械の発展の歴史を中心にまとめてあります。乗物や機械,動植物や風景といったテーマは,百聞は一見に如かずだと思っているので,当時の写真を著作権の許す限り多用しました。今回は模型の写真は一切ありません。本著はモノクロ132ページで,掲載した写真や図版は大小合わせて590枚ほどになりますので,パラパラと見るだけでも面白いかと思います。また,関連する項目では,多少重なる内容が記載されている部分がありますが,一層の理解のためと考えて頂ければ幸いです。本著の編纂によって飛行機にまつわる諸事情が色々と判明し,私自身かなり楽しめました。なによりも意外だったのは,飛行機は男だけの世界かと思いきや,黎明期から女性パイロットがかなり活躍していた点です。そして,人間関係の不思議さでした。タイトルにある「裏事情」をどこまで掘り起こせたかは不明ですが,お楽しみ頂ければ嬉しいです。「飛行機は人類の夢であったのか,それともビジネスに過ぎなかったのか」,さて,あなたはどう思われましたでしょうか?
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