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基地問題の国際比較――「沖縄」の相対化

《世界の基地問題の比較を行い, そこから沖縄基地問題解決のための政策を導出する国際共同研究》 基地問題を比較分析する試みは世界的に見ても稀有。本土の事例も含めた9つの国・地域で展開される紛争とその発生要因を, 当地の歴史・文化・宗教的背景を押さえた執筆者たちが解明。 ◎ 従来, 政治学者がこの問題を考える際に用いてきたアプローチは基地問題の「縦軸」としての歴史の参照だった。歴史を紐解き, 沖縄の基地問題の構造や起源をあぶり出す。そしてその先に問題解決の処方箋を見出そうとする手法である。一方, 本書が試みるのは基地問題の「横軸」, すなわち他の地域や国で起きているそれの参照である。実のところ, この横軸はそれ自身, 学問上の蓄積が極めて乏しい。 ◎ 沖縄の基地問題とそれに関する論争はすでに膠着しているという前提に立ち, 沖縄を考えるがゆえに, そこから距離を取ろうとする。視点をずらし, 世界の基地問題と沖縄のそれとの比較を行う。あえて立ち止まり, これまでわれわれが見落としてきたかもしれないものを拾い上げ, 政策の仕切り直しが可能かどうかを検討する。本書の副題において沖縄が括弧に入ったのはそのためである。 ◎ 取り上げるケースは, (1) トルコ, (2) サウジアラビア, (3) 韓国, (4) ドイツ, (5) イタリア, (6) スペイン, (7) デンマーク/グリーンランド, (8) シンガポールである。さらに, 沖縄を考察するための国内の参照点として, (9) 日本の山口県も対象とする。これら9つのケースは, そのほとんどが従来の研究で考察されてこなかったものである。 ◎ ケースの分析を担うのは, 当該の国/地域の政治・安全保障を専門とする研究者である。彼/彼女らは当地の言語に精通しているのみならず, 個別の基地の歴史や米国との関係性, あるいは基地の問題を構成する文化的・宗教的背景を捉えることができる。このことは, 従来の基地政治の理論が接近しきれなかった特定の地域/接受国に固有の問題を析出するのに大きな意味をもつ。 【目 次】 序 文 〔川名 晋史〕 第1章 なぜ, どのように比較するのか 〔川名 晋史〕 1 基地問題 (base problem) と基地紛争 (base dispute) 2 比較の構造/類型 3 ケースの配置 第2章 国内政治への転回 ――基地研究の理論的系譜 〔川名 晋史〕 1 はじめに 2 推 力 3 抗 力 4 BPT以後 5 おわりに 第3章 トルコの反基地運動が沖縄に与える示唆 ――アイデンティティ・ポリティックスを手掛かりとして 〔今井 宏平〕 1 はじめに 2 1960年代のトルコにおける反基地運動 3 2003年イラク戦争とトルコにおける反基地運動 4 2010年代のトルコにおける反基地運動 5 基地政治をめぐるアイデンティティ・ポリティックス 6 沖縄における反基地運動とアイデンティティ・ポリティックス 7 おわりに 第4章 米韓同盟における基地政治 ――「同盟の再調整」と基地契約の見直し 〔石田 智範〕 1 はじめに 2 同盟協議の背景 3 在韓米軍プレゼンスのあり方をめぐる交渉 4 軍の作戦運用上の裁量権をめぐる交渉 5 おわりに 第5章 有機フッ素化合物汚染をめぐる政治・行政対策過程 ――ドイツ連邦を事例に 〔森 啓輔〕 1 はじめに 2 先行研究と課題 3 PFOA/PFOSのEUおよび連邦・連邦州レベルでの規制 4 PFOS/PFOA汚染と地位協定の絡まり合い 5 議論: ドイツの事例から見る沖縄でのPFAS汚染 6 おわりに 第6章 空母艦載機部隊の岩国基地への移駐 ――基地政策における負担と経済的利益の配分 〔辛 女林〕 1 はじめに 2 国内政治における基地問題 3 移駐計画の経緯と関連主体 4 移駐反対から政府のインセンティブ による選好変化まで 5 合意焦点の変化 6 おわりに 第7章 サウジアラビアにおける米軍基地と基地政治 〔溝渕 正季〕 1 はじめに 2 湾岸諸国における米軍基地の概要と近年の動向 3 サウジアラビアにおける米軍基地と基地政治 4 おわりに 第8章 対話の基地政治 ――グリーンランド・チューレ空軍基地の今日的位相 〔高橋 美野梨〕 1 はじめに 2 玉城デニー県政における対話と基地政治 3 在グリーンランド米軍基地をめぐる政治と対話 4 三者の意図をたぐる 5 おわりに 第9章 スペインの民主化と基地の返還合意 ――1980年代後半のトレホン基地返還をめぐる二国間交渉と米国の対応 〔波照間 陽〕 1 はじめに 2 スペインの米軍基地縮小要求の背景 3 米国の国内外情勢に対する認識 4 二国間の問題を多国間で解決する 5 おわりに 第10章 シンガポールの「準基地」政策 ――基地紛争の予防と管理 〔古賀 慶〕 1 はじめに 2 「準基地」概念と理論 3 国際戦略環境: 地域自立性の歴史的発展 4 国内環境: 「基地紛争」発生の予防策 5 おわりに 第11章 イタリアの米軍基地 ――冷戦の前線から戦力投射の中心へ 〔マッテオ ディアン (訳=波照間 陽) 〕 1 はじめに 2 冷戦期の在イタリア米軍基地 3 冷戦期のイタリア国内政治における米軍基地 4 地位協定と法的枠組み 5 ポスト冷戦期の米軍基地の戦略目的と構造の変化 6 現代イタリアの政治論争における米軍基地 7 冷戦後の地位協定と法的枠組み 8 おわりに 終 章 政策の処方箋 〔川名 晋史〕 1 不可視化 2 多国間枠組み 3 三者間協議 あとがき 執筆者紹介

著者:今井 宏平 石田 智範 森 啓輔 辛 女林 溝渕 正季 高橋 美野梨 波照間 陽 古賀 慶 マッテオ ディアン
Isbn 10:4750351253
Isbn 13:978-4750351254
によって公開:2021/1/20
ページ数:304ページ
出版社 基地問題の国際比較――「沖縄」の相対化:明石書店