日本における人類学・考古学の黎明期を代表する研究者の一人である鳥居龍蔵。明治から昭和にかけて、その足跡は 中国東北部・内モンゴルから朝鮮半島、また台湾、中国西南部、東部シベリア、果ては南米まで及ぶ。 学歴にとらわれず、後年には官をも辞し、家族とともに世界を駆け巡った「町の学者」鳥居。彼のなした学問が、当時、そして現在の学術研究にどう影響したのか。碩学が残した膨大な資料をもとに、その研究を現代社会の中で再評価する一書。 ●目次● はしがき(長谷川賢二、天羽利夫) I鳥居龍蔵を語る 人類学者鳥居龍蔵の学問と人間像(天羽利夫) II世界の中の鳥居龍蔵 鳥居龍蔵と西洋の人類学界―学問は国境を越えて―(ラファエル・アバ) 千島・樺太調査(齋藤玲子) 朝鮮半島調査(吉井秀夫) 鳥居龍蔵の台湾研究―第1回・第2回を中心に―(宮岡真央子) 『人類学上より見たる西南支那』を読む―中国近代史研究史料としての鳥居龍蔵の旅日記―(吉開将人) 遼宋~蒙元代の軒平瓦における造瓦変革と朝鮮半島・日本への影響(佐川正敏) 中国遼上京における考古学研究(董新林) 鳥居龍蔵とアンデス文明との出会い(関雄二) III鳥居龍蔵、列島を歩く―国内調査の軌跡― 戦後日本考古学史における鳥居龍蔵の再評価(中村豊) 近畿調査の成果とその意義(岡本治代) 鳥居龍蔵の弥生式土器観―『諏訪史』第1巻編纂の頃―(高島芳弘) 徳島における調査活動とその意義(石井伸夫) 徳島市城山貝塚の発掘調査とその意義(湯浅利彦) 城山第2号貝塚から出土した人骨―発掘記録からの検証―(佐宗亜衣子) 鳥居龍蔵と武蔵野会―武蔵野会の成立と東京府下の史跡保存活動―(氏家敏之) 九州南部における鳥居龍蔵の調査(橋本達也) IV検証・鳥居龍蔵―資料整理の最前線― 鳥居龍蔵の台湾調査に関する諸資料(石尾和仁) 鳥居龍蔵の学説形成における「南方諸民族」把握の試み(石井伸夫) 大正期の鳥居龍蔵と本山彦一―本山彦一書簡の紹介を中心に―(松永友和) 徳島城復元図の制作と城山貝塚(大橋俊雄) 鳥居龍蔵の未刊原稿群と学知のあり方―中国からの帰国時作成目録に注目して―(長谷川賢二) V資料の窓 新聞が報じた鳥居龍蔵の鹿児島県調査(大原賢二) 鳥居龍蔵の中国山東省調査(鳥居喬) 鳥居龍蔵年譜(抄)(下田順一) 索引 執筆者紹介
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