日本において「印刷」は、社会に、文化にどのような役割を果たしてきたのか。最古の現存印刷と言われる、『続日本紀』にも記された法隆寺の「百万塔陀羅尼」(770)から始まり、木版、金属による活版、写真植字機の誕生、現代のコンピューター組版まで、1200年を超えて発展し続ける印刷の歴史を、個人の趣味・鑑賞から出版業の誕生、マスコミへの発展、行政・教育・学術に果たした役割を通し、技術の変遷・発展とともに体系立てて振り返る。印刷博物館創設20周年記念出版。序論――学としての印刷文化を目指して1部 古代1章 奈良時代に始まった日本の印刷2章 平安時代の印刷――ミッシング・リンク、宋版輸入、仏教版画2部 中世3章 鎌倉時代の印刷――本格化する寺院の開版4章 五山版と武士による印刷の広がり3部 近世5章 朝鮮出兵――朝鮮伝来活字はなにをもたらしたか6章 徳川家康を中心とする印刷・出版合戦7章 嵯峨本と近世木活字版8章 京都・大坂・江戸 三都出版物語9章 印刷が広げた江戸時代の行動文化――旅を助けた書物、版画、摺り物10章 諸学の発展と教育の広がり11章 学問の進展と印刷――本草学から植物学へ12章 鎖国と行列――オランダ、朝鮮、琉球、アイヌ13章 改暦と印刷14章 江戸の三大改革と印刷――為政者と庶民の関係から4部 近代15章 開国から明治維新へ――新時代のイメージを広げた図版印刷16章 戊辰戦争、そして明治政府による改革へ――幕末明治の活字文化17章 「描く技術」を伝える18章 資本主義社会と大衆文化の成立――大正時代の印刷19章 戦時における印刷の功罪5部 現代20章 高度経済成長と素材のバリエーション21章 大量消費社会と印刷――効率化と標準化の時代22章 日本の図書館の歴史コラム「天正少年使節は木製印刷機をはこぶ」「和装本から洋装本へ」ほか印刷のワザとモノ――日本印刷史の基礎知識――
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