『忘れ去られた偉業 アルトゥーロ・フェラリン1920年ローマ東京飛行』 by 井倉まき1920年5月31日、一人のイタリア人飛行士が東京の空に舞い降りた。名前はアルトゥーロ・フェラリン。彼は第一次世界大戦で使い古された機体 SVA に乗って2月14日にローマを出発し、109日かけて17000kmを飛行し東京に到着するという世界初の偉業を成し遂げた。30ヶ所の経由地を通過する道程では、戦争、反乱、雪、灼熱の砂漠、熱帯雨林など数々の過酷な試練が彼を待ち受けていた。『…私達は砂丘の上に不時着した。砂がまだ舞い上がっていたのでエンジンカバーを付けてエンジンを保護していると馬の蹄の音が聞こえた。振り返るとそこには銅色の肌をした、男のような風貌をした全裸の女が鞍なしで馬に乗っていた…』『…金色のパゴダに向かって飛んでいる時、突然大きな爆発音がした。その直後大量の熱湯が頭上から降ってきた。何が起こったのか分からなかったが温度計を見ると水の温度は100度を越えていた。非常に危険な状況だった。着陸場所がそれほど遠くない所にあることを祈って私はエンジンを切った…』飛行機という乗り物が珍しかった時代、空のマルコ・ポーロと呼ばれた彼は木と布で出来た機体を使って、羅針盤と簡単な地図だけを頼りにこの偉業を達成した。到着した東京では42日間続く熱狂的な祝宴が催され、皇后陛下との謁見の後、外国人として最高の名誉である日本刀を授かった。この本は、アルトゥーロ・フェラリン著『世界への旅』から『ローマ東京間飛行』に関する部分を抜粋して日本語に訳したものである。フェラリン家に保存されている日本未公開の写真も豊富に掲載した。また、アルトゥーロ・フェラリンは自らが飛行士として経験した話を通して、第一次世界大戦後のイタリアの政治状況にも触れている。読者はなぜこのような偉業が、歴史に埋れて忘れ去られてしまったのかが推測できるかと思う。ローマ東京間飛行100周年となる2020年に、忘れ去られていたこの偉業の記録本を日本で出版できることをとても嬉しく思う。アルトゥーロ・フェラリンのご子息カルロ・フェラリンさんがこの本の冒頭で述べているように、100年前のあの感動をもう一度日本の人々に届けたい。
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