200年前、九州を旅した才気煥発の文人・頼山陽。旅行中に揮毫した墨蹟淋漓の漢詩紀行「西遊詩巻」に、その文人墨客の交往と山紫水明の風光をたずねる。 -------------------- 山陽が書き残した膨大な著作の中から、本書では特に「西遊詩」、すなわち九州漫遊中の漢詩に焦点をあてる。その大半は『山陽詩鈔』に収録され、さらに旅先で知人のために書いた「西遊詩巻」と称する巻子本はそれに漏れる詩も含んでいる。「西遊詩巻」の全作品に訳注を施してその価値を明らかにするとともに、九州行きの前後に滞在した下関での山陽についてもとり上げ、当地で作られた詩文から彼と下関の結びつきや、当地の商人広江殿峰(一七五六~一八二二)との交遊について概略を窺った。なお付録として山陽が生きた江戸時代の京都における漢学に関して概況を述べ、山陽に関する著書のある研究者入谷仙介(一九三三~二〇〇三)を追悼する文章も収めた。さらに巻末には「西遊詩巻」やそれにまつわる跋文を影印で示して参考に供した。 九州漫遊から約二百年を経た今、漢詩人としての頼山陽について、「西遊詩巻」を中心に改めてその存在意義を振り返る機会になればと願っている。 (「まえがき」より) -------------------- 【目次】 まえがき I章 漢詩人頼山陽の九州漫遊 II章 西遊する頼山陽と『杜韓蘇古詩鈔』 III章 「西遊詩巻」と二つの跋文 IV章 「西遊詩巻」訳注 V章 下関と頼山陽 VI章 頼山陽と下関の商人広江殿峰 附録 1 探訪・京都の漢学 2 入谷仙介先生の教え 3 「西遊詩巻」影印 附『山陽先生真蹟西遊詩』跋文 主要参考文献 初出一覧 あとがき
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