1964年、東京オリンピックを迎えようとする時期に出版された『にっぽん診断―オリンピックの後どうなる』(三一新書)は日高六郎、佐藤毅らが、60年安保から64年のオリンピックと新幹線開業、68年の明治100年、70年の大阪万博へと沸き立つ日本の実相を批判的に解析しました。 そして2020年、本書では2018年の明治150年、19年の天皇代替り、20年のTOKYO2020、25年の大阪万博、27年のリニア新幹線、30年の札幌オリンピックと続くスケジュールに、極限的な政治腐敗、長期化する経済停滞、深刻化する人間蔑視の「暗い」日本政治・経済が刻み込まれていることに焦点を当てました。「脱出口の見えない日本」が浮き彫りになります。 この矛盾を乗り切るために設定された「新しい帝国主義」と「新しい生活様式」という欺瞞的な棄民国家の始まりを意味します。「新しい帝国主義」と「新しい生活様式」は、果てしなき監視社会化の帰結であると同時に、この国が自国民に対して棄民政策を押し付けるだけでなく、周辺諸国民にふたたび悪夢の日々をよみがえらせる危険があります。 現代日本は表層だけが腐敗しているのではなく、深層において静かな壊死が進行しており、構造的に自壊する危険があることに警鐘を鳴らします。
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