高齢者は、ライフイベントにともなう身体的・心理的・社会的な体験などの消失により、社会から孤立する傾向にあります。具体的には、家族、友人との死別、自身の身体疾患、社会的な役割の消失、家族の介護などによる孤立感が、発症の契機になることがあります。 うつ病は、睡眠障害、希死念慮などが著明な症状ですが、本書でも取り上げているように副作用により経口投与が困難な患者も多いので、一般的な療法だけでは難しい症例が多くみられます。 また、高齢者の場合は、血管障害やパーキンソン病などを合併していることもあります。 よって、高齢者うつ病には、薬物療法に重点をおいた治療だけではなく、精神療法、心理療法、電気けいれん療法などの専門的な療法のほか、作業療法士との連携、看護師との密な体制づくり、地域連携などが求められるのです。 マスメディアなどで取り上げられている小中学生のいじめによる自殺は年間200人なのに対し、60歳以上の自殺は年間1万人以上という状況が続いており、その3割以上は、うつ病が原因です。 悲劇を繰り返さないためにも、本書をひもとき、地域ぐるみの対策に、ぜひとも取り組んでいただきたい、と願います。
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