本書は1950年代に「痛みを誘発しない自動・他動関節可動域をともに改善できる手技」として確立された「ホールド・リラックス(収縮後弛緩)」の考え方を元に「筋肉は収縮した後に緩むという性質」を利用し、狙った筋肉を伸張させる整体手技による診断と治療の方法を丁寧に解説した書籍です。 特定の筋を伸張させることは、関節の可動域を拡げたり、伸張し弱化した他の筋を強化させる効果があります。これにより肩や腰、膝などコリや痛みから動きの悪くなった関節や太もも、ふくらはぎなど筋肉のこわばりなどが軽減し、機能の回復が見込めます。 この整体手技の原理は理学療法士にとってなじみ深く、臨床などでもよく知られた「等尺性収縮後の弛緩(PIR)」と「相反抑制(RI)」と呼ばれる2つの神経生理学的過程によって説明が可能であるため、現役療法士はもちろんこれから資格を取ろうと考える学生にとっても理解しやすい論理となっています。 ただ、この手技を応用し身体中の様々な筋肉に適用できるよう体系化された書籍は珍しく、貴重な内容となっています。 さらに後半では、この2つの神経生理学的過程を症例に合わせて使い分けた施術例が、各部位ごと多くの写真とともに丁寧に解説されています。そのため臨床実習をおこなう学生はもちろん、現場で日々の治療にまい進する「理学療法士」「作業療法士」などリハビリテーションに関連する職種に就く多くの方たちには特に重宝される1冊です。
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