はじめに ~NBAは最高のお手本~ こんにちは、三原です。この本を手に取ってくださり、感謝しています。 わたしは高校生の男子を指導して、この原稿を書いている2021年現在、指導歴18年目になります。 バスケットボールがずーっと好きで好きでたまらなく、24時間バスケットボールのことを考えています。 そんなわたしは小学校5年生から、バスケットボールを始めました。 父の影響で始めたバスケでしたが、人生を決定づけたのは小学校6年生のときでした。 1992年バルセロナオリンピックで、NBAの選手によるアメリカの「ドリームチーム」が大活躍。金メダルを取ったのです。そのあまりにもすばらしいプレイの数々に、わたしはすっかり心を奪われたのです。 わたしはテレビにくぎづけになって、ドリームチームの試合を見ました。ビデオに録画し、暇がればずっとそれを見ていました。 お気に入りの選手はマジック・ジョンソン。マジックのプレイを頭に叩き込んでは、ボールを握りしめて体育館に走っていき、友達といつまでもNBAごっこのような練習をしていたものです。 そんなわたしも指導者になりましたが、あの頃と同じようにNBAのプレイは、研究の対象として、今も見ています。 「NBAのプレイなんて、子供たちの参考にならないよ」 「NBAなんて、ショーバスケだろう?」 そんなことを言う無知な人がいます。たしかに、ド派手なダンクや、複雑すぎるフォーメーションは、中学生や高校生には役に立たないです。 でも、NBAはそれだけじゃありません。選手たちは基本に忠実であり、戦術もシンプルなものが多いのです。 数多くの試合を見てきて、また海外の文献を読み続けて、わたしはやっぱり確信しました。 「NBAは、バスケ指導者にとって、最高のお手本だな」 この本をとってくださっているあなたは、きっと熱心なバスケットボール指導者に違いありません。 そんなあなたに、NBAで本当に行われている戦術の基礎、バスケの基礎をわかりやすく伝えるのが、本書のねらいです。 きっと新しいバスケットボールの1面に出会えるはず。本書を通じて、あなたのお役に立てれば幸いです。 戦術の基本こそ、NBAから学ぶべき理由 この本は、NBAの最新戦術を使って、バスケットボールの理論を体系的に学ぶことを目的としています。 しかしながら、次のような点が考えられるのもまた事実です。 NBAは個人能力がとても優れているので、戦術もそのことが前提になっている NBAはオフェンス能力がとても高いので、複雑なディフェンスを行っても、高校生やその他のカテゴリーほど通用しない。 そのため、ゾーンやゾーンプレスなどを積極的に行うチームが少ない NBAのコーチ陣は結果ですべてが評価されるため、確実に試合に勝てる戦術を選ぶ つまり、独創的な試みは少なく、手堅い戦術が多くなる NBAに比べれば、それ以外のカテゴリーは明らかに個人の能力が低くなるはずです。それを補うためには戦術の多彩さでカバーしようとします。 一方で、NBAのように個人が長けていれば、逆に戦術はシンプルなものになる傾向があります。 この本は、「シンプルなもの」という点に着目し、どのカテゴリーにも共通する普遍的な戦術を学ぶためには、NBAから学ぶことが一番よいと考えています。 もちろん、ルールがあなたのカテゴリーとはちがうと思うので、すべてが参考になるとは限りませんが、どの方にも「ゼロから」戦術を学んでもらえる教材です。なお、本書は全3巻でつくりました。1)ゲームの基礎とトランジション2)ディフェンス3)オフェンスとなっています。本書はその第1巻です。【目次】はじめに 〜NBAは最高のお手本〜 試合を見るということは 用語を覚えよう 選手のポジションについて コートの名称を覚えよう 図の書き方 フルコートゲームの大切さ トランジションオフェンス アーリーオフェンス トランジションディフェンス プレスディフェンス 第1巻のまとめ 著者紹介 参考文献
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