世界初の抗菌薬として彗星の如く現れ短期間で忘れ去られたサルファ剤。医薬開発の豊富な逸話から近代社会の発展を浮彫りにする。 それは細菌感染に無力だった人類が初めて手にした“効く"薬。 顕微鏡下の地道な探究が、戦場の様相を、医師の役割を、医薬品開発の仕組みを根底から変えた――企業の戦略、研究者・国家間のせめぎ合い、栄光と悲運……「最も偉大な医学の勝利」をめぐる知られざる歴史のドラマ。 「皮肉なことに、第二次世界大戦中のアメリカを救った薬は、ヒトラーが権力を握った年にドイツの研究室で生まれた。(中略)世界最大の奇跡とされたサルファ剤の栄光の時代は短かった。一九三〇年代半ばに世界の舞台に登場し、大きな興奮を巻き起こしたあと、十年後にほとんど消えた。しかし、その短い間に、この薬はあらゆるものを変えてしまった。(本文より) はじめに プロローグ――ハワイ真珠湾 第1部 探求 1章 戦場の現実 2章 ご老体と第一次大戦 3章 虚無と使命と 4章 就職と結婚 5章 世界最大の化学工場 6章 産業界とアカデミア 7章 バイエル大帝国のチームワーク 8章 最も恐るべき、ありふれた細菌 9章 産科病棟の疫病 10章 細菌を殺す真紅の色素 第2部 医学を変える奇跡 11章 パナケイア目覚める 12章 抑えられぬ興奮 13章 赤い車の白いエンジン 14章 フランスチームのダンス 15章 ホワイトハウスの実験 16章 サルファ・ゴールドラッシュ 第3部 光と影 17章 危険なレシピ 18章 新しいFDA 19章 サルファ剤ゲーム 20章 検閲と連行 21章 第二次大戦 22章 それぞれの終戦 23章 ストックホルムへ エピローグ――束の間の栄光と偉大な影響 訳者あとがき 索引 調べるほどにドーマクは私の中で魅力的な人間となっていったが、人物以上に興味深いのは、現在の医学で当然と考えていることに、彼の発見が大きく関係、影響していることである。我々は科学の時代にいる。これはその元になった時代の物語なのだ。(「はじめに」より))
人気のある作家
メディカ出版 (137) 医学書院 (72) 医療情報科学研究所 (48) 医歯薬出版 (39) 坂井 建雄 (24) (19) 画像診断実行編集委員会 (19) 『精神科看護』編集委員会 (18) 高久 史麿 (18) のまり (17) 日本医療企画 (16) 医学通信社 (16) 中央公論新社 (14) American Heart Association(AHA:アメリカ心臓協会) (12) 岡 秀昭 (12) DES歯学教育スクール (11) 森田 達也 (11) 福井次矢 (10) 谷口 総志 (10) 「腎と透析」編集委員会 (9)