戦前は女性参政権獲得運動を牽引し、戦後は参議院議員として女性の地位向上に努めた市川房枝。その足跡を追うことで、日本におけるデモクラシーの来歴をたどり、女性の政治参加や社会運動、自由主義、国際連帯について考える。 【目次】 はじめに――「一人一役」の生涯 第一章 婦人運動家の誕生――「大正デモクラシー」の洗礼をうけた自由主義者 1 郷関を出る――時代に憧れる職業婦人 2 婦人労働運動から新婦人協会へ――平塚らいてうとの出会いと別れ 3 アリス・ポールとの出会い――アメリカ体験 4 二足のわらじ――国際労働機関東京支局と婦選獲得同盟 第二章 政党内閣制下の婦選運動家として――デモクラシーに棹さして 1 「憲政常道」の活用――政友会内閣と男子普選第一回総選挙での応援 2 攻勢の中で――民政党内閣と男子普選第二回総選挙での革正運動 3 満州事変下の運動指導者――政友会内閣と男子普選第三回総選挙での婦選要求 4 苦難の中の薄明かり――非常時暫定政権の連続と男子普選第四回総選挙 第三章 非常時局下の婦人運動指導者として――デモクラシーなき日本にて 1 皮肉な選挙粛正運動――二・二六事件後の日本政治と社会運動 2 国民精神総動員運動を使って――戦時下の困難を前に 3 近衛新体制を真の新体制とするために――婦選獲得同盟の解散 4 東へ西へ――アジア太平洋戦争下の婦人指導者として 第四章 占領下の高揚と追放――復活強化されるデモクラシーとともに 1 敗戦後の新たなスタート――日本民主主義の再建過程と並行して 2 公職追放下の日々――重なり合う敗戦の跡と冷戦の影 3 占領下での運動への復帰と講和への不安――日本婦人有権者同盟を率いて 第五章 戦後日本の議会政治家として――「逆コース」を許さない 1 訪米後、参議院議員となる――「理想選挙」の実証実験と婦人有権者教育 2 混沌とした戦後初期の参議院議員――売春防止法と婦人参政10年 3 革新系参議院議員としての独立独歩――60年安保騒動の後 4 美濃部革新都政の実現と沖縄復帰――「逆コース」を越えて70年安保に向かう日本 5 1970年の分水嶺と落選――「理想選挙の灯」消える 第六章 次なる日本の同伴者として―「逆コース」との闘いの先に 1 議員落選後の日々――後片付けを意識して 2 参議院全国区から復活の四選――国際婦人年と一党優位政党制との闘い 3 全国区第一位での五選と死――新冷戦と保守回帰への警戒 主要参考文献 おわりに――市川房枝の遺産 市川房枝略年譜 人名・事項索引
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