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十七世紀イギリス財政史論:「国王私財」と二つの革命 (MINERVA西洋史ライブラリー 115)

「国王は自活しなければならない」と「合意なければ課税なし」という二つの財政原則は、国王と議会がそれぞれの「独立」を互恵的に認める均衡体制としての中世的混合王政を支えるものであった。17世紀イギリスでは国王が支弁すべき経常費が著増しその財源である「国王私財」は減価していた。このギャップを埋めるために国王は独立性を犠牲にして議会依存を強めるか、独立性に固執して財政封建制を展開するほかなかった。17世紀の国王は議会依存と親政断行の間で揺れ動いた。親政による財政封建制の強化は清教徒革命を惹起し「国王私財」は破砕された。王政復古による「国王私財」の三大間接税による擬似的再生はその著増によって国王を専制化させ名誉革命を惹起し、それは「国王私財」をシヴィル・リストへと縮減した。清教徒革命・王政復古・名誉革命の激動の中で「国王私財」は破砕・再生・縮減を経験し、それによって混合王政は絶対王政でなく制限王政として再構成された。   【目次】 まえがき 略記一覧 I 「国王私財」補強と議会特権 第一章 「国王私財」としての王領地――財政と恩顧の矛盾 一 財政改革と恩顧制度の矛盾 二 王領地改革――国王収入と「国王寄生者」 三 二元主義原則と王領地改革 小 括 第二章 ジェイムズ一世の王領地改革――謄本保有の自由保有化 一 ソールズベリ伯の謄本保有改革――権利承認料の改定 二 権利承認料の改定と「マナーの慣習」 三 「自由保有化」策と「新保有地」の摘発 四 サフォーク伯の謄本保有改革 五 反復的収入策と一時的収入策の間の動揺 六 「自由保有化」の示談金 七 財政改善策としての謄本保有改革の成否 小 括 第三章 ジェイムズ一世「十年の親政」における非議会的収入の模索 一 「混乱議会」と付加関税論議 二 皇太子結婚政策と議会回避 三 「徳金」の賦課、新建築物課金、コッケイン企画 四 「警戒都市」売却と議会回避 五 一六二一年議会召集と三十年戦争 六 恩赦販売政策と議会回避 小 括 第四章 一六二〇年代の議会の「財布の支配」――供与の承認と苦情の救済の一体性 一 苦情の救済と供与の承認は「双子」であったか 二 一六二一年議会――ファルツ問題と「救済なき供与」 三 一六二四年議会――対スペイン戦と補助税承認 四 一六二五年議会――関税不法徴収批判と追加的補助税拒否 五 一六二六年議会――バッキガンガム公批判と補助税承認の「交換」 六 一六二八・九年議会――「権利の請願」と補助税承認 小 括 第五章 チャールズ一世「十一年の親政」直前の議会の関税論議 一 付加関税批判とトン税・ポンド税承認問題――ジェイムズ一世第一議会からチャールズ一世第二議会まで 二 非議会的関税と「権利の請願」――チャールズ一世第三議会第一会期 三 納税拒否者差押え問題と国王・関税官(請負人)分離案の挫折――チャールズ一世第三議会第二会期 小 括 II 「国王私財」の擬似的再生 第六章 王政復古期財政の過渡性――議会税からなる「国王私財」 一 サウサンプトン期――復古王朝財政の確立と第二次英蘭戦争 二 クリフォード期――「国庫支払停止」と第三次英蘭戦争 三 ダンビィ期――第三次英蘭戦争から騎士議会解散まで 四 ロチェスター期――経済好況下の税収増による国王の財政的自立 小 括 第七章 チャールズ二世の「ドーヴァーの密約」――フランス資金依存と議会からの自由 一 「ドーヴァーの密約」の外交的条件――フランスの膨張と三国同盟の脆弱性 二 「ドーヴァーの密約」の国内的条件――王位の隔絶性とフランス依存 小 括 付録〈ドーヴァー条約〉 一六七〇年五月二二日 第八章 チャールズ二世の「国庫支払停止」――金匠銀行家の衰微と長期債の生成 一 「国庫支払停止」と支払指図証 二 「国庫支払停止」時(一六七二年)の累積負債 三 国王による「銀行家年金・債務」の確認 四 「銀行家年金」債権確認訴訟における財務府裁判所の判決 五 「銀行家年金」財源確保のための議会への要求 六 「国庫支払停止」による金匠銀行家の破産 七 「国庫支払停止」による銀行預金者の被害 小 括 III 「国王私財」からシヴィル・リストへ 第九章 ウィリアム三世第一議会の「歳入」確定――関税四年限定承認の意義 一 ウィリアム三世第一議会第一会期における「歳入」確定 二 関税の四年限定承認の根拠 三 国王と議会の攻防と「国王私財」 小 括 第十章 ウィリアム三世のシヴィル・リスト――「国王私財」縮減と混合王政の転換 一 後期スチュアート期の「歳入」(国王私財) 二 ウィリアム三世の「歳入」(1)――暫定議会第一会期 三 ウィリアム三世の「歳入」(2)――暫定議会第二会期 四 ウィリアム三世の「歳入」(3)――第一議会 五 「国王の影響力」批判と地方派 六 最初の「シヴィル・リスト法」――「独立の国王収入」の浸食と存続 小 括 初出一覧 参考文献 人名索引・事項索引

著者:酒井重喜
Isbn 10:4623089665
Isbn 13:978-4623089666
によって公開:2021/1/12
ページ数:450ページ
出版社 十七世紀イギリス財政史論:「国王私財」と二つの革命 (MINERVA西洋史ライブラリー 115):ミネルヴァ書房