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実説 城谷怪談 撰集六十二 ()

実説 城谷怪談 老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。 幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。 そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。 内容紹介 「魅入られた子」(28分) イベントコンパニオンをしていたことのある現在40代のるみさんという女性。もう十年以上前の出来事をはっきり覚えている。ダブルワークで休みなく働いていたころだった。登録している派遣会社からの斡旋でその週末も大きなケータイ会社合同主催の展示会にコンパニオンとして入ることになった。明るい性格だが人見知りで、大勢の不特定多数の人がいる場所は得意ではない。気も張っていたのだろう、イベントが始まって早々連日の疲れもあって具合が悪くなってしまった。少し休むことになったのだが、誰もいない暗い控室でソレは息をひそめて待っていた。 「海」(31分) 小樽出身の体験者の男性は小さい頃から海には慣れ親しんでいたはずだが、20代の頃に体験したあることをきっかけに苦手になってしまった。社会人になってまだ年の浅いその年の夏、学生時代の仲間と男ばかり3人集まって小樽方面の海にへキャンプに行くことにした。仲間の一人の大型車にテントや食材、飲み物を積むと夜出発し小一時間ほどで現場に着いた。海水浴場兼キャンプ場の駐車場に車を止めると、浜辺には人っ子一人いない。8月の天気のいい週末、キャンプ日和だというのに彼ら以外誰もいなかったことがそもそも不思議に思えたそうだ。そうしてその不思議は、ほどなく恐怖に変わることになった。 「見える」(? 25分) 霊感者と霊能者は似て非なる者。きちんと鍛錬し修行しなければ、時に自分の持つ力がもとで思いもよらぬ災難に見舞われることがあるそうだ。リカちゃんという女性は小学校に上がる前から自分に霊感があることを自覚していた。ラップ音や気配の感じ方はもとより、だんだんと向こうの世界のものが見えるようになっていったからだ。小学生の時、同級生の一人に親族と思しき霊がついていると教えたことがきっかけで、周囲に霊感少女としてもてはやされ、よく霊がらみの相談など受けていたそうだが、高校生になった頃から次第に感が鈍くなりついには何も感じなくなった。そんなある日の放課後の教室での出来事である。 「東京の荒れ地にて」(30分) 阪本さんは知り合いの霊能者の先生から、西多摩の土地の検証に付き合ってほしいと連絡を受けてその年の夏に現場を訪れた。霊能者の先生とお札を書ける先生、阪本さんと、霊感のない阪本さんの友人の4人だった。聞けばある財団からの依頼で、その土地の相続人から早く土地を売って住宅地として開発してほしいとせっつかれているのだが、工事に着工しようとすると関係者に体調を崩すものが続出したり、事故が頻発し、ついには死人まで出てしまったので、霊的なものの仕業じゃないかという。もしそうなら除霊してほしいというのだ。かくして目の当たりにしたのは夏だというのにどこまでも枯草の生い茂った広大な荒れ野であった。

著者:城谷 歩
Isbn 10:4775983342
Isbn 13:978-4775983348
によって公開:2020/12/12
出版社 実説 城谷怪談 撰集六十二 ():でじじ発行/パンローリング発売
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