◆量子論の数学的構造を直観的に理解する◆量子論は、標準的な教科書では、ヒルベルト空間の言葉を用いて説明されていたり、解析力学などの物理学に関する知識を前提に説明されていたりと、その性質を直観的に理解するにはたくさんのハードルがあります。しかし、量子論のもつ性質そのものにフォーカスすれば、より直観的な理論展開が可能です。それが、本書で紹介する「図式」と「操作的確率論」によるアプローチです。図式によるアプローチは、オックスフォード大学のボブ・クックが中心となって提唱したもので、量子論のふるまいを直観的に記述できる言語として、現在、世界中で関心が高まっています。また操作的確率論(operational probabilistic theory)は、一般確率論(generalized probabilistic theory)ともよばれ、古典論と量子論を包括する洗練された理論体系として、量子情報分野で注目されています。本書では、この二つのアプローチを軸に、量子論の数学的構造を明らかにしていきます。
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