・IgG4関連疾患はわが国より発信された新しい疾患概念で、現在、全世界で多くの研究者が精力的に研究を進めている。自己免疫性膵炎とIgG4との関連、全身性病変との関連の発見が本疾患の疾患概念確立の端緒となった。 ・IgG4関連疾患は諸臓器に分布し、全体像が明らかではないので詳細な疫学は不明である。自己免疫性膵炎の最新の疫学情報ならびにこれから推測されるIgG4関連疾患の疫学は本症の病態理解に大きく寄与すると考えられる。 ・発生機序の解明に関して新規抗原の発見など進歩が著しい。また、精力的に自然免疫系の検討がされ、IgG4上昇機序などが明らかになってきた。これらが発生機序の全容解明への有力な道筋を示すことを期待したい。 ■ IgG4関連疾患 -解明されてきた新たな病態 ・はじめに ・IgG4関連疾患包括診断基準と国際IgG4-RD分類基準 〔key word〕IgG4関連疾患(IgG4-RD)、包括診断基準、Classification criteria ・全国調査からみた自己免疫性膵炎の現況 〔key word〕自己免疫性膵炎、IgG4関連疾患、膵外病変、ステロイド維持療法、再燃 ・自己免疫性膵炎の長期経過 〔key word〕自己免疫性膵炎(AIP)、再燃、膵機能、慢性膵炎、悪性腫瘍 ・IgG4関連腎臓病の長期経過 〔key word〕IgG4関連腎臓病、尿細管間質性腎炎(IgG4-TIN)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎、補体 ・IgG4関連涙腺・唾液腺炎の長期経過 〔key word〕IgG4関連涙腺・唾液腺炎(IgG4-DS)、シェーグレン症候群、唾液腺機能 ・IgG4関連疾患――長期経過と画像所見 〔key word〕IgG4関連疾患、自己免疫性膵炎、長期経過、CT、MRI ・IgG4関連疾患の消退像――実症例に基づく病理学的考察 〔key word〕自己免疫性膵炎(AIP)、IgG4関連疾患、病理、消退 ・IgG4関連疾患の長期経過における治療戦略 〔key word〕IgG4関連疾患(IgG4-RD)、ステロイド、維持療法 ・IgG4関連疾患と免疫異常――とくに自然免疫系について 〔key word〕IgG4関連疾患、自己免疫性膵炎、自然免疫、腸内細菌叢、形質細胞様樹状細胞(pDCs) ●TOPICS 医用工学・医療情報学 ・プロジェクションマッピング技術を応用した手術ガイドシステム“MIPS"の開発 免疫学 ・FROUNTは免疫チェックポイント阻害薬の障壁となるがん促進マクロファージを制御する――古い薬が新たながん免疫療法の扉を拓いた 脳神経外科学 ・von Hippel-Lindau病の脳神経外科領域における最新知識 ●連載 臨床医が知っておくべき最新の基礎免疫学 ・16.腸内細菌叢とマルチオミクス解析 〔key word〕腸内細菌、マルチオミクス解析、dysbiosis バイオミメティクス(生体模倣技術)の医療への応用 ・12.ムラサキイガイの接着官能基を利用した水中接着剤と表面機能材料 〔key word〕カテコール基、DOPA、接着、表面修飾 ●フォーラム ・医師の働き方改革への患者の意識改革――示された応招義務への新たな見解 パリから見えるこの世界 ・98.免疫の形而上学、あるいはスピノザと共に考える 天才の精神分析――病跡学(パトグラフィ)への誘い ・10.庄野潤三と暦時間――健康を考える病跡学 本雑誌「医学のあゆみ」は、最新の医学情報を基礎・臨床の両面から幅広い視点で紹介する医学総合雑誌のパイオニア。わが国最大の情報量を誇る国内唯一の週刊医学専門学術誌、第一線の臨床医・研究者による企画・執筆により、常に時代を先取りした話題をいち早く提供し、他の医学ジャーナルの一次情報源ともなっている。
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