■米国イェール大学・ノーベル経済学者賞を受賞したロバート・シラーが序文を寄稿。シラーと同じイェール大学、またカリフォルニア大学で、行動ファイナンス、投資論など金融論教授として活躍した実績を持ち、中国に帰国した気鋭の中国人経済学者が、中国経済が過剰な生産能力を積み上げ、バブルを生み出すに至った背景を、経済学のロジックに基づき、鮮やかに解き明かす。■不動産市場、株式市場などの資産市場の異常な高騰、また、銀行による信用の膨張、シャドーバンキングの隆盛――これら中国経済に見られるバブルは、経済成長を国民の不満を抑える頼みの綱とする、中央政府、地方政府によって「保証」されたものであり、政府による「保証」があるからこそ、人々は安心して投資を続ける。その構図が過剰設備、過大な不良債権を生み出した本質的な要因だと分析。経済成長実現のために、企業、債務者たちが破綻を免れるように政府が暗黙の保証で支えているがゆえに、本来破裂するはずのバブルがなかなか崩壊しない背景を明らかにする。■中国経済は、「新常態」をキャッチフレーズに掲げた習近平政権が改革案を示したものの、政権内の路線対立もあり、立て直しへの明確な見通しが立たないなかで、改革は進んでいない。著者は、中国のバブルが政府に保証されたものであり、構造改革が成功しなければ今後の持続的な成長は困難であり、いずれは行き詰まって巨大なバブルは崩壊せざるをえないと警告する。
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